悪天候によるコースコンディション不良のため最終日のラウンドが中止になった「マイナビABCチャンピオンシップ」。第3ラウンドで首位に立っていた小鯛竜也が、プロ転向11年目で嬉しいツアー初優勝を飾った。ツアー本格参戦1年目の27歳に対し、「運もあったと思うけど、間違いなく実力でも勝ちきれた」と語るJGTO(日本ゴルフツアー機構)のコースセッティング・アドバイザーの田島創志が、この試合を振り返る。

【スイング連続】“イケメンフェーダー”小鯛竜也は素振りでスイングを作る
片山晋呉や藤田寛之などのベテランが元気な姿を見せ、小平智や宮里優作など賞金王を争う選手たちが優勝争いに絡む中、飛躍を期待されるニューカマーが勝利を収めた。「3日間で終わったのはとても残念だった」と語ったが、「ピンのポジションなどのセッティングに、(セッティングを担当した)田中秀道さんのアメリカで戦っていた意図がはっきりと出ていた。ミスターABCの片山晋呉さんや技を持っている選手も上位で活躍できる、メリハリがあってとてもフェアなセッティングだった」と解説した。

小鯛が今回勝てた理由には、「地元の大会で、昔からよく知っているコース。元々パッティングが上手い選手だし、スピードの速いグリーンにも慣れていた」。2日目に13.33フィートを記録したツアー屈指の高速グリーンの攻略が勝利に繋がったと分析した。さらに、「(小鯛は)期待のニューフェイス。今までにない感じから繰り出されるスイングとアイアンショットやボールの質の高さは、実際に見に来る価値はあるんじゃないですかね、とても魅力的な選手だと思います」と絶賛。「ステージが高くなればなるほど戦える選手じゃないかなと思います。日本だけじゃなくて、世界を見て戦う中で、自分がどうしたいのかということを考えることができればもう一回り大きい選手になれるし、日本の枠に留まってほしくない」と高く評価した。

現在賞金ランキング1位を走る小平をはじめ、今回優勝した小鯛や2位タイに入った永野竜太郎など、今大会でも20代の選手の活躍が見られた。「20代のゴルフは、今の40代のゴルフとは正直別物」と分析しつつ、「ゴルフの質が違う。今までゴルフの上手さを見せてきた世代から、タイガーウッズの影響を受けてゴルフをやってきた選手たちが、少しずつだけれども上位に立つようになってきた」と、20代選手の盛り上がりを歓迎した。

また、今大会で5位に終わった小平が、「小鯛は同世代ですし、悔しいのでいい刺激になる」と語ったように、小鯛のツアー初Vが他の選手に刺激を与えると指摘。その中でも田島が特に期待する選手として、21歳・星野陸也の名前を挙げた。昨季のファイナルQT(予選会)で1位となり、今年4月に下部のチャレンジトーナメント「Novil Cup」でプロ初勝利を果たした逸材だ。

「小鯛や石川遼と一緒に合宿をやる仲。すでに来季の賞金シードはほぼ確定(現在賞金ランク32位)させているけど、欲しい優勝はまだない。だから、星野がこれから秋のシリーズで上位に顔を出してくると、若い選手がさらに盛り上がってくる」と期待をこめた。そして最後に、「これからは飛距離の出る選手が有利になる試合が続くと思うので、そのアドバンテージを生かして、タフなコンディションの中でどういうものが必要なのかを試合の中で学んで、若い選手にはどんどん育っていって欲しい」と総括した。

解説・田島創志(たじま・そうし)/1976年9月25日生まれ。ツアー通算1勝。2000年にプロ転向し、03年『久光製薬KBCオーガスタ』で初日から首位を守り、完全優勝。青木功JGTO(日本ゴルフツアー機構)体制では、トーナメント管理委員会 コースセッティング・アドバイザーを務める。

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