米ツアーの新シーズン開幕第2戦、CIMBクラシック最終日。最終組で共に回っていたパット・ペレスとザンダー・シャウフェレを眺めながら、思い出されたのは昨季プレーオフ最終戦のツアー選手権だった。

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ツアー選手権はシャウフェレにとってもぺレスにとっても初出場の大会だった。米ツアーにデビューしたばかりのシャウフェレは、新人にしてプレーオフを勝ち進み、ツアー選手権まで駒を進め、さらには強豪選手たちを抑えて堂々の優勝を成し遂げた。

23歳のシャウフェレはジョーダン・スピースやジャスティン・トーマスらとジュニア時代から腕を競い合ってきた同期だが、米ツアーに辿り着くまでには仲間たちより少々時間がかかった。だが、仲間たちより出遅れたからこそ「失うものは何もない」と腹を括った。「今さら焦ることは何もないのだから」と、無謀に攻めるのではなく安全着実なプレーを心掛け、見事に優勝を成し遂げた。そして、「この優勝は僕にとって大きな自信になった」と目を輝かせていた。

一方、ぺレスはすでに41歳の大ベテラン選手だが、2002年から米ツアー本格参戦を開始しながら、ツアー選手権には過去に一度も出たことがなく、昨季は「こうして30人限定のツアー選手権に出られただけで僕は本当にハッピーだ」と喜んでいた。

大会では16位と「そこそこ」の順位で終わったが、それまでの17年間、通算2勝ながらツアー選手権に出られるようなトップ中のトップクラスには入ったことがなく、しかしシード権だけは死守してきたという自身の「そこそこ」のツアー生活を省みると、「ツアー選手権に出ることができ、そこでしっかり戦うことができたという事実は、僕にこれまでにないぐらいの大きな自信をもたらしてくれた」と、去り際もやっぱり喜んでいた。

そのツアー選手権で昨季が終了し、早くも新シーズンの開幕シリーズはアジアへ移ったが、この2人が米国から太平洋を越えてマレーシアまで足を伸ばした背景には、せっかく膨らんだ自信を膨らんでいるうちに試合で活かしたいという想いがあった。

ゴルフにおいては“相性のいい大会”というものは確かにあり、ジャスティン・トーマスがこのCIMBクラシックで2連覇を遂げたのは、まさに相性が良かったからなのだろう。だが、“相性がいい”というのも、突き詰めれば「いいプレーができそうな気がする」という気持ちがもたらした結果だ。

最終的に成績を左右するものは、相性より何より、どんな心持ちでその大会に挑むかというメンタル面の状態。その意味で、シャウフェレとぺレスは「いい状態」だったからこそ、最終日を最終組で回り、ぺレスは優勝、シャウフェレは3位になることができた。

ぺレスはCIMBクラシックに恩義も感じていた。同大会がまだ米ツアーのオフィシャル大会になっていなかった2011年から彼は戦う場を求めてマレーシアまでやってきていたが、これまでの最高位は9位どまりだった。

2016年の3月に、かねてから痛みを感じていた左肩の手術を受け、その年は残り試合すべての欠場を余儀なくされた。2017年シーズンは公傷制度を利用しながら復帰を目指すしかなく、長年維持してきたシード権も「ついに危うくなる危機感も感じていた」。

昨季のCIMBクラシックも、当初は故障明けのぺレスに出場できる見込みはなかったが、大会側が「スポンサー推薦のオファーを僕に出してくれた」。それは、途方に暮れていたぺレスにとって「救いの神だった」そうだ。

そんなふうに「うれしい始まり方」で昨季から復活したぺレスは、その3週後、OHLクラシック・アット・マヤコバで2009年の初優勝以来の通算2勝目を挙げ、以後は故障からの順調な回復どころか、例年以上に上昇。ツアー選手権に初めて辿り着き、そして今季は開幕早々に勝利を挙げて、通算3勝目を達成した。

「この10数年、そして今も学ばされることばかり。だからこそ、ゴルフも人生も面白い。こんな僕を支えてくれた人々に、これで少しは恩返しができたことがうれしい」

ぺレスの“いいメンタル状態”はゴルフの好成績のみならず、彼の人生にも大きな喜びをもたらしている様子で、そんな彼を傍から眺めるのは楽しいことだ。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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