首位が目まぐるしく変わる混戦となった国内男子ツアー「トップ杯東海クラシック」の最終日。それを制したのは今季9回のトップ10フィニッシュをはたしながら未勝利だった小平智だった。首位タイから出たが、一時はキム・ヒョンソン(韓国)に3打差をつけらえた。しかし、ヒョンソンが難関16番パー3でティショットをグリーン左のガケに落としトリプルボギーに。そこで首位タイとなると、17番で4メートルのバーディパットを決め単独首位に立ち勝利をもぎ取った。

「飛ぶ要素が詰まってる」小平智のスイング写真
小平はこの大会でパーオン率が79・17%で1位。フェアウェイキープ率が64・29%と抜群のショット力をみせた。今季、JGTO(日本ゴルフツアー機構)のコースセッティング・アドバイザーを務める田島創志は小平のスイングをこう賞賛する。

「単純に言うと、智のスイングはアドレスの時の手の位置とインパクトの手の位置がまったく同じなんです。80〜90%のプロはインパクトのほうが手が高くなる。これができるのは才能と言っていいでしょう。だから曲がらないし、プレッシャーがかかってもスイングがブレにくいんです」。

以前から小平に一目置いていたという田島、小平のショット力は男子ツアーでも屈指のもの。3日目は強い風が吹いたが、小平は「その中で低いドローだったり、いろいろなボールを打っていました」と抜群の対応力をみせ、その高い実力の片鱗を見せ付けていた。

それでも勝てなかったのはパッティングがかみ合わなかったから。「ANAオープン」でも最終日にパッティングが悪くなったが、この試合では開幕前に試行錯誤しテークバックを小さくした。そうすることで「感覚的なことですが、ストロークが緩まなくなったんです」(小平)。田島曰く小平は「もともとしっかりと打つタイプ。ジャストタッチではなくて、けっこうドーンと打ってくるタイプなので、入り始めたらいいのがどんどん決まってくる」。本来の自分のパッティングを取り戻し、また「入るか入らないかは運の部分もある」(田島)と運にも恵まれツアー5勝目を手にした。

田島が一番小平について素晴らしいと思うことは「世界を見ながら戦っている」こと。勝ちたい意識、そして海外挑戦を公言し常に高いレベルを目指す姿勢や「世界のトッププレーヤーならこれぐらいのスコアで回ってくると想定しながら戦っている」意識の高さを賞賛していた。世界を目指す小平は世界ランク50位以内が賞金王よりも大きな目標。松山英樹や石川遼、谷原秀人の他にも世界で戦うプレーヤーが出れば、きっと国内男子ツアーにいい影響が出るだろう。

また田島によれば、小平の「スイングをマネするのは難しいでしょうが、アマチュアの方でもマネできることが」あるという。それが「プレーの速さ。人が打っている時に考えて、しっかりとまとめて、それを実行する。そのスピード感のあるプレーがとても小気味いい。速いと同組の選手はそのスピードに“飲まれ”やすくなります」。プレーが速い事はゴルフにとっては「良い影響しかない」という。会場に行かせた際は、小平のプレースピードにも着目してみてはいかがだろうか。

世界を目指す28歳、小平の優勝で盛り上がったこの大会。6位入った21歳の星野陸也ら若手の活躍もツアーにとって好材料だろう。ルーキーの星野は「今、色々なものを吸収している最中でしょう。これからどう成長していくのか、本当に楽しみですよ」。また、5試合連続でトップ10フィニッシュしている25歳の今平周吾や「ANAオープン」から調子を上げてきた24歳の時松隆光らも秋のハイシーズンをこれから盛り上げてくれそうだ。「周吾は夏ごろに一回調子を崩しましたが、また調整し上がってきました。隆光は、ハデさはないですが、内に秘めた闘争心と冷静なプレーが素晴らしい」。ここまではベテランの活躍が目立ってきた今シーズンだが、これからは若手のさらなる活躍も期待できそうだ。


解説・田島創志(たじま・そうし)/1976年9月25日生まれ。ツアー通算1勝。2000年にプロ転向し、03年『久光製薬KBCオーガスタ』で初日から首位を守り、完全優勝。青木功JGTO(日本ゴルフツアー機構)体制では、トーナメント管理委員会 コースセッティング・アドバイザーを務める

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