12回目を迎えた今年のプレジデンツカップは初日から米国選抜の優勢となり、3日目を終えた時点で、すでに14.5ポイントを獲得。優勝に必要な15.5ポイントにあと1ポイントまで迫っていた。

会場には元・ニューヨークヤンキースの松井秀喜氏の姿も
世界選抜は最終日の個人戦12マッチで全勝しない限り、優勝はできないわけで、そうなる確率はあまりにも低く、言い換えれば、米国選抜の勝利がすでに決まったも同然という状況だった。

「負けることはないと思いながら最終日の個人マッチをプレーするのは変な気持ちだった。まるで友達とゴルフをしているみたいな感じだったけど、それもこれも僕ら米国チームが素晴らしいプレーをした証。大満足だね」。

そんな憎らしいほどの言葉で喜びを語ったのはダスティン・ジョンソン。こんなに饒舌なDJを見たのは初めてだったが、勝てば官軍、勝ってナンボの勝負ゆえ、何を言われても仕方がない。最終日を終えて合計19ポイントを獲得した米国選抜が11ポイントの世界選抜に大差をつけて圧勝した。

これで米国選抜は7連勝を達成。大会における通算成績は10勝1敗1分になった。世界選抜は1998年の1勝以来、勝利はない。

それにしても、今回、これほど大差がついたのは、なぜだったのか。初出場の選手は世界選抜が4名、米国選抜はそれより多い6名ゆえ、「不慣れ」が原因とは言い難い。

世界選抜のエースと期待されていた松山英樹は不調で3日目までは勝利数ゼロ。最終日は「今できる限界を出した」という必死のプレーで、ようやく1勝を挙げたほどで、彼自身のみならず、世界選抜の選手は「みんな調子が悪かった」と松山は振り返った。

その通り、世界選抜にはメジャーチャンプもたくさんいたが、ジェイソン・デイもアダム・スコットもシャール・シュワーツエルもルイ・ウーストハウゼンも、みな不調で大会を迎え、大会でもやっぱり不調だった。

米国選抜のほうは、どうだったのか。副キャプテンを務めたタイガー・ウッズは「僕らのチームの選手は飛距離も出ていたし、何よりパットをよく決めていた。今回の米国選抜はベスト・パッティング・チームだった」と、パットの勝利を強調。

ライダーカップも合わせるとチーム対抗戦で23回目の出場となったフィル・ミケルソンは「僕らは好調な選手、いい流れで大会を迎えた選手ばかり。そして誰もがベストなプレーをした」と振り返った。

米国選抜の選手たちが好調の波の中で大会を迎えたことは、たまたま起こった偶然ではなく、そうなるように選手たちが務めてきたからこそであろう。「ライダーカップでは僕ら米国も惨敗したことがあったけど、なぜ大敗したのかを僕らは真剣に考え、米国優勢の流れへ持っていく術を見い出した」とは、ウッズの言。

確かに、近年のライダーカップで米国は欧州に敗北し続け、大差で敗れて屈辱を味わったこともあった。だが、ミケルソンの提案でタスクフォースと名付けられた対策委員会のような組織を作り、過去のキャプテンやベテラン選手、現役選手などが額を寄せ合って知恵を絞り、2年がかりで練った作戦を実行した昨年大会で8年ぶりの勝利を挙げた。

その経験、そのとき実感した団結力や自信が今も米国選抜の選手たちの間で持続している。「チームの団結力が僕らの最大の力だった」と、キャプテン、スティーブ・ストリッカーも頷いていた。

ライダーカップで勝つために米国チームが行なったような抜本的な施策がプレジデンツカップの世界選抜にも何かしら必要なのだと思う。文化や習慣、言語が異なる国々からの選手を一致団結させ、多くの選手が好調な流れの中で大会に臨めるよう持っていくためには、必然的にそうなるよう仕向ける「何か」が求められる。

その「何か」は果たして何なのか。「それは米国選抜の僕らの知ったことではない」と、ウッズは言い放ったが、おっしゃる通り、それは世界選抜の選手がこれから見い出さなければならない大きな課題となった。

世界選抜の敗北が続き、今大会は大差がついたのだから、「もうプレジデンツカップは存続できずに消滅するのでは?」という声も聞こえてくる。「プレジデンツカップは無くならない。世界選抜が勝つ日は必ず来る」。米国選抜キャプテン、ストリッカーの激励のこの言葉に、世界選抜はどう応えていくのか。今大会で大敗したからこそ、今後の楽しみができた。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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