今週紹介する選手は、鈴木麻綾。2015年プロ合格の22歳だ。身長は、159cmとそれほど大きくはないものの、ドライバーの飛距離は260ヤード前後とレギュラーツアーでも十分に通用する飛ばし屋だ。トップから、スピード感のある回転でフィニッシュまで振り切るスイングは、アン・ソンジュを思わせるキレがある。

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 ステップアップツアーを取材するカメラマンは、鈴木のことを「とてもフォトジェニックな選手」という。プレー中は、周囲を気遣う素振りを見せたり、結果に反応したり、ときにケラケラと明るく笑い、とにかく表情が豊かなのだ。喜怒哀楽が顔に出るタイプなのだろう。観戦する側としては、見ていて楽しい選手だ。

 しかし、今シーズンは明るく楽しいことばかりではなかった。「パナソニックオープンレディース」では、初日「67」と飛び出したものの、中京地区の後輩にあたる野澤真央、小野祐夢に最終日に逆転されて、3位と惜敗。「ツインフィールズレディース」でも優勝争いを演じたが、最終日に「75」と崩れて、4位に終わった。

 「ルートインカップ 上田丸子グランヴィリオレディース」では、1打足らずにプレーオフ進出を逃した。この試合では、最終日の17番、18番と連続ボギー。ゴルフにタラレバはないとはいえ、上がり2ホールをパーで上がれば優勝だっただけに、悔いの残る負け方になった。

 最終日の鈴木のプレーぶりを見ていると、緊張感もスコアを崩したときの落胆も、他の選手よりもずっと伝わってくる。なんだか、こちらまで息苦しくなってくるような気持ちになる。優勝争いの渦中で、ベストなプレーで出来ない課題が、大きく立ちはだかっているようにも見えた。本人も勝負どころの弱さに悩んだのではないだろうか。
 
 しかし、ゴルフの神様はそれほど鈴木に意地悪ではなかった。次の週の「ユピテル・静岡新聞SBSレディース」では、見事にプロ初優勝を果たす。鬼門の最終日、15番ホールで1m以内のパットを2度外してダブルボギーにするという悪夢のあと、16番、17番と連続バーディーで見事にバウンスバック。それまでの借りを返すような力強い優勝だった。15番のダブルボギーのあとは、「また負けるのか」、「また崩れるのか」と不安や恐怖がよぎっただろう。なんとも苦しげに目を閉じていた表情が、とても印象的だった。そんな表情もまた絵になるのだが、やはり勝利の笑顔のほうがいい。

 その後、「ECCレディス ゴルフトーナメント」でも2位。序盤の勝負弱い印象を払拭し、気がつけば、賞金ランキングは3位に浮上した。獲得賞金は堂々の1000万円越えを達成し、賞金女王争いの2強と目されていた、福山恵梨、谷河枝里子のあいだに、割って入ってきた格好だ。

 飛距離は十分で、パッティングも上手く、バーディーを量産するスタイルは、プロ向きだろう。勝負どころでまた緊張しないか、ファンを心配させてしまいそうでもあるが、実力が発揮できれば、目標のステップアップツアー賞金女王は、意外と近くにある。


文・コヤマカズヒロ/雑誌・WEB媒体にゴルフ記事を執筆。大手ゴルフショップチェーンの立ち上げに参画した経験を持ち、ゴルフギアに関しては性能面はもちろん製造・流通まで幅広い知識がある異色のライター。国内外のツアー情報にも精通するが、現在はステップ・アップ・ツアーに要注目。ネクストヒロイン候補をプレースタイルやギア面から発掘することをライフワークとする"ステマニア"。

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