<全英オープン 最終日◇23日◇ロイヤルバークデール(7,156ヤード・パー70)>

絶体絶命の状況からみせた“練習場ショット”は語り継がれる一打となった。単独首位から出たジョーダン・スピース(米国)は3打のリードを一時逆転されるも、14番からバーディ、イーグル、バーディ、バーディを奪うカムバックを見せて初のクラレットジャグを手にした。23歳361日でのメジャー3冠はジャック・ニクラス(米国)に次ぐ年少記録となった。

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全英オープンの伝説的なショットとして知られるのが、1979年大会のセベ・バレステロスが見せた駐車場ショットだ。ロイヤルリザム&セントアンズの16番でティショットを大きく曲げるも、ボールが止まった駐車場の土の上からバーディにつなげるショットを放ち、全英制覇を手繰り寄せた。23歳はそのセベをほうふつとさせるスーパーリカバリーで勝利をつかんだ。

序盤4ホールで3ボギーを喫し、マット・クーチャー(米国)に並ばれて迎えた13番パー4。雨が落ちる中放ったショットは打った直後に頭を抱えるほどに右に曲がり、深いブッシュに入った。アップヒルでグリーン方向へはスタンスもまともにとれない状態。「ここからどのように戻ればいいんだろう、優勝のチャンスを残すためにはどうすればいいのかを考えた。そしてアンプレヤブルを選択して、ボギーで終われればと考えたんだ」。

アンプレヤブルを決めたあとは、ボールのドロップ場所を約20分間にわたり競技委員と相談した。「聞いてみたんだ。練習場はOBゾーンかってね。答えはノーだった。打つのに、あそこのほうが断然いいロケーションだと考えた。グリーンを狙いやすい場所だったし、ティの方向に出すよりもまるでいいオプションだと思った」。隣接する練習場は傾斜もなくもちろんライもいい。抜け道を見つけて、「いろいろなところでボールを打ってきたから知っていただけさ(笑)。いつも真っすぐ飛ぶ選手だったら、おそらくあのホールでは異なったスコアになっていたはずだ」と笑った。

3打目をグリーン手前まで運ぶと、アプローチを寄せてボギーセーブ。クーチャーに一打リードされたが、ここで完全にスイッチが入った。14番パー3ではピンをかすめるスーパーショットでバーディを奪うと、続く15番パー5では約15メートルのパットをねじ込んでイーグルとした。あまりの出来事にスピース自身も驚きを隠せない。「あのイーグルをもっと喜ぶべきだった。ガッツポーズをするべきだったと思う。でも、何をしているか分からなかったんだ」。キャディを指さして叫んだ言葉は「ボールを忘れるなよ!」。普段では見られない光景だった。

もはやロイヤルバークデールはスピースのひとり舞台。16番、17番も連続バーディとしてクラレットジャグを確実なものとした。最終ホールでグリーンに向かうスピースに浴びせられたのは、ギャラリーからの万雷の拍手だった。

今月27日に24歳の誕生日を迎えるスピースは次戦「全米プロゴルフ選手権」でキャリアグランドスラムの偉業に挑む。「グランドスラムは人生のターゲットともいえる。キャリアのゴールだ。でも、彼ら(グランドスラム達成者は)ゴルフの世界を越えた存在。もちろん僕はまだ全然そのレベルに達していないし、存在でもない。良いスタートだとは思うけど、まだまだ進んでいかなくてはならない」。圧巻の強さを見せた23歳は、伝説の一打と共にさらなる高みに歩き出す。

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