キム・ハヌル(韓国)のメジャー2連勝で幕を閉じた「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」。2週連続優勝と手が付けられないくらい好調な“スマイル・クイーン”の勝因を上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が振り返る。

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■メジャー連勝のキム・ハヌル 勝因は2つ
今季メジャー初戦となった今大会。今年からこれまでの東コースから西コースに変わったがコンディションの良さが目を引いた。辻村氏も賛辞を惜しまない。「グリーンのスピードとコンパクションがちょうどよい具合でしたね。良いショットは止まるし、ラフからのショットだと止まらない。良いショットに対する答えがある。コ・ジンヨン選手のキャディを務めていたテリーさんも“すごいね、26年やっていて一番だよ”と舌を巻いていました」

そんなアンダーパーが7人しかいないセッティングの中、見事に栄冠を手にしたのがキム・ハヌル。最終ホールでボギーを叩いたが、3打差と言う結果以上に2位以下の追随を許さない完勝劇だった。

「勝因は2つあると思います。1つはパー5でしっかり伸ばせたことです。4日間で9バーディ・ノーボギー。このコースはどこでもバーディを獲れるわけじゃない。そんな中、伸ばさなきゃいけないところでしっかりと獲れていました。風によって2オンできるできないがあったと思いますが、その辺りのジャッジが素晴らしかった。今大会のパー5は入れちゃいけないバンカーが随所にあり、中途半端に2オンを狙うとその罠にハマってしまう。マネジメントの勝利だと思います」

もう1つがムービングデーに我慢のゴルフができたことだ。「3日目はトップから出たアン・シネ選手と青山加織選手がいきなり伸ばしていましたが、時間が経つにつれて風が強くなり難しいコンディションとなりました。その日にノーボギーで首位に立ったことはとても大きい」。

耐える展開で強さを発揮したのがアプローチ。「基本的にハヌル選手はテクニックを使わずシンプルに寄せるタイプです。一度開いたフェースを同じアングルで動かし続けます。3日目の16番のアプローチではゆったりとした球で寄せていました。これは自信がないとできないこと。今はそれだけショートゲームが良いのでしょう」。4日間とも「常に手前から」を意識して乗らなくてもアプローチで凌いだハヌル。獲るところと守るところ。メリハリの効いたプレーが2つ目のメジャータイトルを手繰り寄せたと言っても過言ではない。

■成熟の3年目 いよいよ賞金女王が見えてきた
この勝利で賞金ランク1位に立ったハヌル。賞金女王への期待も高まってきたが、本人は「まだ、ボミさんにはかなわない。私はついていくだけ。ただ開幕前に考えていた以上に順調に来ています。賞金女王は最初の目標には入っていませんでしたが、これだけ出だしが良いので最後まで頑張りたいです」と話すにとどまった。だが、辻村氏は十分に可能性があると話す。

「もう去年までの優勝争い中にバタバタしていたハヌル選手はもういません。今はそういった状況でも慌てず冷静にマネジメントしている。また、勝った翌週にしっかりと結果を出しているのも成長だと思います。彼女はシンプルな思考法だから好調が続きます。不調の状態が少ない」

ハヌルの強みに挙げるのが「コースを選ばない」こと。「彼女は高い球を打てるから、上から攻められる。今大会でもレクシー(トンプソン)選手や川岸選手と同組で飛距離的には10ヤード前後置いていかれていましたが、飛ばし屋2人と変わらない高い球が打てるから同じようにボールをポイントで落としていける。だからメジャーのセッティングでも戦えるのです。先週のサイバーエージェントレディスも優勝スコアが1桁でしたが、そういった難しいコースでも実力を発揮できる。どこでも勝てる力があるのは、かなりのアドバンテージですよ」

■惜敗の川岸史果は“飛ばし”だけにあらず
一方ハヌル、レクシーらとしのぎを削ったのが川岸史果。4位タイに敗れはしたが「ダイキンよりも良くなっている。スイングでの力みがどんどん抜けていってる」と大器のさらなる成長を感じたという。

「彼女は飛距離ばかりがフォーカスされがちですが、オールラウンドプレーヤーです。ドローとフェードを打ち分けたりと剛と柔の両方持っている。ルーキーイヤーなのに平均パット数、パーセーブ率、バーディ数といった異なる3つでトップ10に入っているのは全ての平均値が高いからに他なりません」。何よりも評価するのが、先週の月曜日に練習ラウンドを18ホール共にした際に感じたというゴルフに対する取り組み方だ。

「練習ラウンドのしかたが素晴らしいですね。試合を想定してできている。ピンポジを想定してアプローチなども考えている。スイングチェックなどをせず、今コースでやるべきことのみを行っている。中身の濃いラウンドに将来性を感じますね。プレーを見ても何が悪いというものはあまりない。根性もありますから、経験を積めば世界に羽ばたける選手になると思いますよ」

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子らを指導。上田の出場試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

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