暦が2017年に代わり、米ツアーの舞台がハワイから米国本土の西海岸に移った最初の大会。それが、今週のキャリアビルダー・チャレンジだった。毎日異なる3コースをプロアマ形式で回った3日間の予選の中で、単独首位に立ったのは毎日異なる選手だった。

近隣で合宿中のイボミもコースに姿を見せた
初日は今季ルーキーのドミニク・ボゼリという米国人選手が首位に躍り出た。2日目は、やはり米国人のハドソン・スワフォード。3日目はカナダ出身のアダム・ハドウィン。最終日の終盤は大混戦になったが、そこから抜け出し、優勝を飾ったのは2日目のリーダー、スワフォードだった。

日本のゴルフファンには、まったく耳慣れない名前ばかりだと思う。いやいや、米ゴルフ界でも彼らは決してお馴染みの選手ではない。

新人、無名、外国人。前週まで、いやいや、ほんの昨日まで、ほとんどノーマークだった選手が、一夜明ければ米ツアーのチャンピオン。そんなふうに昨今の米ツアー選手たちの動きは、かつてないほどスピーディになっている。そして、その候補となりえる層も広がっている。言い換えれば、誰もがスターになりえる時代。さらに言い換えれば、選手どうしの実力差が縮まっているということ。それだけ競争が激化していると考えていい。

今大会の初日に首位に躍り出たボゼリは、優勝こそ逃したものの、5位に食い込んだ。ルーキーながら、優勝争いの中で緊張したり大崩れしたりすることなく、実力を発揮してトップ10入りを果たした。ハドウィンは3日目に米ツアー史上8人目(9度目)の「59」をマークして、その日の首位に躍り出た。

2日目のリーダーだったスワフォードは、3日目に3位へ後退したが、最終日は「日頃はリーダーボードをやたらと見るけど、今日はあえてリーダーボードを見ず、自分のゴルフをすることだけに集中した」という独自の戦い方で盛り返し、初優勝を飾った。スワフォードのみならず、日々首位に立った3人が3人とも初優勝を目指し、誰が勝っても初優勝者の誕生だった。

「59」というスコアにしても、以前は10年に1度出るかどうかという驚異的な数字だったが、2010年に2度マークされると、ジム・フューリクが2013年に続き、2016年には「58」をマーク。

そして今年はジャスティン・トーマスが先週のソニーオープン初日に「59」を出したばかりだというのに、今週もハドウィンがマークし、2週連続の「59」の誕生。昨今はスコアリングの技術も、以前より格段に向上していると言えるのだろう。

そんな中、腰を痛めて昨季序盤から戦線離脱していた石川遼が今大会で今年の初戦を迎え、予選を通過して50位になった。その感想を求めたら、石川は「そこ(初戦ということ)には、あんまり興味はないんです」と笑って答え、「これから8月までの長い(道程の)中、山あり谷ありだと思う。目指しているのはあくまでも高いところで、そこよりは低い位置からのスタートになったけど、新たな試みとベースとしてきたもの、その両方を持って、しっかりスタートできた」と、きっちり走り出せたことに対して満足感を得た様子だった。

そう、石川の昨季の戦線離脱はもはや遠い昔の出来事。今大会が石川にとって初戦であろうと何であろうと、首位に立った選手が新人であろうと誰であろうと、目指しているのが初優勝だろうと何勝目であろうと、そうした事情は瞬く間に様変わりする。

そう、無名選手が有名になるまでに、もはや時間はかからない。毎週、毎日、彼らの動きは、止まらないし、止められない。米ツアーは、そんな激動の状態になりつつある。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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