動きの激しい世界のゴルフ界では、そのときどきに「旬な選手」が現われる。2016年を振り返ってみると、春から夏にかけて大きな注目を集めたのは、イギリス出身の27歳、アンドリュー・ジョンストンだった。

この画像もある意味“旬”タイガー・ウッズが半裸で…
くるくるの巻き毛とビッグなヒゲ。仲間たちから“ビーフ”と呼ばれるこの選手は、4月のリアル・クラブ・バルデラマ・オープンで欧州ツアー初優勝を挙げると、7月の全英オープンでは優勝争いに絡み、8位と大健闘。

その人気は米国にも広がり、全米プロでは特別会見が開かれた。ローストビーフ・サンドイッチのアービーズがスポンサー契約をオファーしたことでさらに話題になり、瞬く間に世界のゴルフ界の人気者になった。

ウエブドットコム・ファイナル4戦を経て、米ツアーの2017年シーズンのフル出場権も手に入れた。世界ランキングは、まだ86位とようやくトップ100入りを果たしたところだが、今後が期待される大型ルーキーだ。

夏から初秋にかけて注目を集めたのは、ベルギー出身の24歳、トーマス・ピーターズ。2015年に欧州ツアー2勝を挙げた実績はあったが、その名が広く知られるようになったのは今年8月のメイド・イン・デンマークで欧州ツアー3勝目を挙げ、その戦いぶりをダレン・クラークに見初められてライダーカップにキャプテン推薦で出場することが決まったときからだった。

当初はピーターズの推薦出場に異論を唱える人々もいたが、ローリー・マキロイとペアを組み、初出場ながら見事なプレーぶりを披露したピーターズは、欧州のみならず米国のゴルフファンをも唸らせた。世界ランキングは現在47位でトップ50入りを果たしたばかりだが、2017年は大躍進しそうな予感がする。

今年、欧州出身で「旬な選手」になった人は、さらにもう一人いた。スウエーデン出身のアレックス・ノーレン。すでに34歳で2009年から2015年までに欧州ツアーで着実に4勝を挙げてきた地味な中堅選手だったが、今年の7月のスコティッシュオープン優勝を皮切りに、9月のヨーロピアン・マスターズ、10月のブリティッシュ・マスターズ、11月のネッドバンク・チャレンジを制し、年間4勝、通算8勝。世界ランキングは96位から9位へ急浮上し、瞬く間に「時の人」となった。

そんなノーレンの今年の健闘を報じる際、欧米メディアがこぞって用いているのが、このフレーズだ。「アレックス・ノーレンを上回るホットな選手はヒデキ・マツヤマただ一人しかいない」

なにやら回りくどい表現ではあるが、ノーレンの年間4勝を讃えながら、同時に10月から5戦4勝を挙げた松山英樹を「ノーレン以上」と絶賛しているフレーズであることは間違いない。そう、松山は10月の日本オープンを皮切りに、中国・上海で開催された世界選手権シリーズのHSBCチャンピオンズを制し、再び日本に戻ってVISA太平洋マスターズで優勝。

すぐさまバハマへと大移動して、タイガー・ウッズの大会であり、ウッズの1年3か月ぶりの戦線復帰となったヒーロー・ワールド・チャレンジでも勝利。注目を集める主役の座を、実力でウッズから奪い取った松山の強さは圧倒的だった。

アジア出身選手が欧米選手すべてを抑える形で「最も旬な選手」「最もホットな選手」と世界のメディアから評されたのは、プロゴルフ史上、初めてのこと。

2016年を素晴らしい形で締め括った松山は、言い換えれば、絶大な期待を寄せられながら2017年を迎えようとしている選手だ。だが、ジョンストンやピーターズ、ノーレンらと同様、ランキング下位から突然飛躍する選手はこれからも次々に登場するだろう。

ますます厳しくなる世界のゴルフ界の2017年がとても楽しみだ。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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