3年ぶりに開催されたワールドカップはデンマークの初優勝で幕を閉じ、日本は悔しさの残る6位タイで終わった。

最終日の前半、松山英樹と石川遼の日本チームが3番、4番、5番、7番とバーディーを重ねたとき、日本の逆転優勝を期待し、思わず拳を握りしめた日本のファンはきっと多かったことだろう。残念ながら後半は3バーディーにとどまり、他国とのバーディー合戦を勝ち抜くことはできなかった。

石川と松山率いる日本チームは、互いに尊敬し合う良いチームプレーで4日間を戦い抜いた
だが、松山と石川の同級生コンビは、お互いの長所を最大限に活かすべく、力を合わせて戦った。松山のバッグを担ぐ進藤大典キャディ、石川のバッグを担ぐ佐藤賢和キャディ、2人の助言やサポートは日本チームの結束を固める大きな力になっていたはず。日の丸を掲げることを必死に目指した彼らのチームワークは素晴らしいものだった。

ところで、この「チームワーク」の概念は、お国柄や国民性の違いによって、ずいぶん異なるものらしい。2位に4打差を付けて快勝したデンマークのソレン・ケルドセンとトービョーン・オルセンの2人の力の合わせ方は、私たち日本人の感覚からすると、「ホント?」と首を傾げてしまうほどスタイルが異なっていた。

「アグレッシブにひたすら攻めていく」と心に誓ってスタートした最終日の前半、デンマークはなかなかスコアが伸ばせず、他チームの追撃にさらされた。6番でようやくバーディーを奪ったものの、8番では2人ともティショットを大きく曲げてボギー。この時点で2位タイグループとの差はわずか1打。それでも「後半に伸ばせると信じていたから、1打差はあんまり気に病んではいなかった」という考え方はケルドセン、オルセンどちらも同じだった。

驚かされたのは、そこから先のこと。勢いを取り戻し、バーディーを量産した後半のデンマークの2人の「力の合わせ方」だ。
オルセンは「僕らはゴルフのスタイルが違うから、試合中、プレーの仕方に関する話はほとんどしなかった」と明かした。リーダーボードもオルセンは「常にチェックしていた」が、ケルドセンは「なるべく見ないようにしていた」。

どこをどう狙い、どんなショットで攻めるべきか。ラインをどう読み、どんなタッチでカップを狙うべきか。「ソレンはソレン、僕は僕のゴルフをするのみ。お互いのゴルフを信じて任せているから、テクニカルな話はほとんどしない」とは、若いオルセンの言。「後半、どんどん伸ばしていたとき、彼(オルセン)のためなら死んでもいいとさえ思った」とは、ベテランのケルドセンの言。

絶対的な信頼と絶対的な責任感。「死んでもいい」とまで表現する感覚や概念は、エクストリームすぎるようにも思えるが、それほど究極な姿勢が後半のあの究極な集中力を生み出していたのかもしれない。

日本のスタイル、デンマークのスタイル、どちらが「いい」「悪い」という話ではない。それぞれに合ったやり方こそが、それぞれにとって最高のスタイル。だが、異なるスタイルを知ることは、大いなる参考になる。

そして、表彰式でケルドセンが口にしたこの言葉は、全世界共通のユニバーサルだ。「一緒に戦い抜いたオルセンとの友情を固めることができた。それこそが、このワールドカップの最大の目的だ」

来年はチューリッヒクラシックが米ツアー史上40年で初のチーム戦になる。2020年の東京五輪ゴルフのフォーマットはいまなお検討されている。そんな今、チームワークの意味、チーム戦の意味を考えさせ、気づかせてくれた今年のワールドカップは、とても意義深い大会だった。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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