イ・ボミ(韓国)が笠りつ子とのプレーオフを制し、「伊藤園レディス」を連覇。2年連続の賞金女王をほぼ確実なものとした。実力者たちが上位で争い、見ごたえのある戦いとなったこの試合を上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏と共に振り返る。

熱戦となった伊藤園レディスをフォトギャラリーでプレーバック
●高いミート率を生み出す右足の“蹴り”と左足の“受け”

 終ってみれば賞金ランク首位を走るボミが優勝。ランク2位の申ジエが3位タイ、ランク3位の笠が2位と実力者たちの活躍が目立った。これは「今年の最終日はピンポジションが特に難しかったですね。これだけ左右や前後にふられたのは初めてでは?ショットの精度の高い選手が上にくるのも納得です」。パーオン率1位のボミ、2位の笠。2人のショットメーカーが優勝争いを演じたのもある意味必然だった。

 2人は同じショットメーカーだが、違うところも似たところもあるという。「ボミさんは中弾道のドローヒッター、笠さんは高弾道でどちらかと言えばフェードヒッター。笠さんはピンがふられてもスペースに落とせる高さがあります。ボミさんは笠さんほど球は止まりませんが、バツグンのコースマネージメントの能力で攻めてくるタイプ。2人ともショットメーカーですが、球質が違いますね」。

 また同じなのは高いミート率とスイングの質。「すごいヘッドスピードではないけど、ドライバーが250ヤード以上飛ぶのはボールへのエネルギーロスが少ないから。2人とも右足を蹴りこんでヘッドスピードを上げていますが、左足がその力をしっかりと受け止めているから腰が入る。笠さんはインパクトゾーンで左のかかとが浮いていますがつま先は一切ひらいていません。右からのパワーを左でしっかりと受け止めているからパワー効率が良くて打点がずれない。見た目以上に2人が飛ぶのはこの高いミート率を生み出すスイングがあるから。やはりショットが良い人は下半身が絞られていますよね。しっかりと両足の指先が地面を掴んでいるからだと思います」。強靭な下半身を持つ2人のショットーメーカーが、賞金女王かけて直接対決をしたのが先週だった。

●笠さんは2回の3パットが痛かった

 ショット力は「今週は笠さんのほうが勝っていました」と話した辻村氏。勝負の分かれ目は「やはりパッティングだったと思います。笠さんはショートパットで手に意識がいきすぎてるように感じました。後半2回の3パットで2つのボギー。ファーストパットのタッチが、上手くいかなかった時の返しは、悪い感触のまま入らなければならないから難しいのです。3パットの時は体が浮いてしまっていました。プレッシャーがかかる時ほど腹圧を入れて、肩など大きな筋肉をつかってストロークをするのが鉄則。笠さんの2つのボギーは手元に意識がいきすぎた結果でしょう。その後2つのバーディで取り返したのは素晴らしかったですが、そこが勝負の綾になってしまったと思います」。

 一方のボミは「最後までしっかり体でパッティングしていましたね。ストロークもタッチも良かったです。ボミさんはよくストロークのチェックもしていますが、よくボールを1個だけ使って実戦形式の練習をキャディの清水さんとしています。具体的にどこのホールでどんなラインかを決めて打つ。同じ場所からではなく、様々なところから。この実践的な練習が、ボミさんの強さを支えてる1つだと思います」。普段から実戦を想定して練習し、本番でのプレッシャーを軽減する。この地道な練習の積み重ねが2年連続の賞金女王を引き寄せてくれた。

 見るものを熱狂させた2人のショットメーカー対決。最後に勝負を分けたのはやはりパッティングだった。


解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、濱美咲らを指導。今季は上田の出場全試合に帯同し、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

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