フォン・シャンシャン(中国)の優勝で幕を閉じた「TOTOジャパンクラシック」。例年以上に集まった海外勢のパワーや技術を見ることができた一方で、ベスト10に入った日本人選手は3位タイの堀琴音1人という厳しい現実も突き付けられた大会でもあった。そんな1年に1度の日米共催競技を、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が振り返る。

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■米ツアー勢はゴルフの本質をついている
TOTO-は日米共催らしく米ツアー特有のセッティングでの戦いとなった。ピンが左右に振られるだけでなく、ティグラウンドも前後に30ヤード以上動かして同じホールとは思えないロケーションに様変わり。様々な状況への対応力が問われた。

「日本ツアーにはないセッティングでしたね。特に最終日のピン位置は“攻めてこい!”と言わんばかりでした。そうしないと良いスコアを出せないよ、と。そんな中、向こうの選手はグリーンギリギリに切られたピンに向かってアグレッシブに攻めてくる。そりゃ技術が上がるよね、と思いましたよ(辻村氏)」

何よりも日米の違いを感じたのはゴルフに対する考え方の違いだ。

「ゴルフに対するこだわりが違うなと感じました。“良いスイングをしよう”と考えがちな日本選手に対して、向こうの選手はとにかくスコアが大事。数字を作るのがとてもうまい印象でした。その考えは練習から現れていて、時間を割くのはショートゲーム、そしてパッティング。練習場にいる時間よりもグリーンにいる時間の方が明らかに長い。スコアに必要な優先順位がはっきりと分かっているからこそですよね」

■堀琴音の持つ積極性が厳しいセッティングを攻略した
そんな米ツアー勢が上位を占める中、文字通り孤軍奮闘を見せたのが堀琴音。2日目に順位を落としベスト10から日本人選手の名前が消えたが、最終日に“68”を叩きだし10位どころか3位でフィニッシュ。日本のファンは留飲を下げたに違いない。

「優勝したフォン・シャンシャン選手は成績の通り絶好調という感じでしたよね。そして堀琴音選手も好調さが見て取れました。彼女の持ち味はハイボールですが、決して体格がある方ではありません。高い球を生み出しているのはトップで作られる“一瞬の間”です。この間でクラブの重みを感じるとともに、打ち急がないタイミングを作るのです。そしてヘッドの重量感を感じたまま下ろしてくることで、力を入れなくてもインパクトの時にクラブの重さがボールに伝わり、上に吹き上がる回転数の多い球を打つことができるのです。また間ができたときに左手の甲とフェースが揃ってまっすぐになっています。その為フェース面と手元との感覚がピタリと合ってクラブとの一体感を生み出しています」

高い球を打てることに加えて、彼女のスタイルが好結果につながったと続ける。「彼女はジュニアの頃から、どんなに振られてもピンを攻めるアグレッシブなスタイルでした。攻撃的な姿勢は失敗も多く生み出したと思いますが、それでも自分のスタイルを貫いた。逃げずに取り組んできたからこそレベルも上がったでしょうし、チャレンジしていくショットが打てるようになった。だからこそ米ツアーの厳しいセッティングでも活躍することができたのではないでしょうか」

堀の活躍は決してフロックではない。身に付けたスイングとスタイルが組み合わさった結果だ。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、濱美咲らを指導。今季は上田の出場全試合に帯同し、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

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