<全米オープン 最終日◇19日◇オークモント・カントリークラブ(7,257ヤード・パー70)>

 ついにつかみ取った。首位に4打差の2位タイからスタートしたダスティン・ジョンソン(米国)は最終ラウンドを3バーディ・2ボギーの“69”で回り、トータル4アンダーで逆転優勝を達成した。トータル7アンダーの単独首位から出たシェーン・ローリー(アイルランド)は“76”と崩れた。

全米オープンのハイライトを動画で!問題の5番の映像も
  2位に3打差をつけて迎えた18番ホール。192ヤードのセカンドショットがピン1メートルについた瞬間、だれもが勝利を疑わなかった。ただ一人、ジョンソンを除いては。フェアウェイで同組のリー・ウェストウッドに握手を求められても、優勝を確信した18番のギャラリーがどれだけ叫んでも、その表情が緩むことはない。1メートルながら大きく切れるフックライン。流し込むと右こぶしを渾身の力で握りしめた。

 硬い表情から笑みを引き出したのは、グリーンサイドで見守った愛息テイタム君と妻パウリナさんだった。かたわらにはキャディを務めた弟もいた。「すごく良いサポートをしてもらっている。家族とチーム、だからここまでは素晴らしい道のりだった」。勝てなかった日々も、個人的な理由によりツアーから姿を消した日々も。そばにいた家族のサポートが何よりも大きかった。

 昨年大会は最終ホール決めれば優勝という4メートルのイーグルチャンスから3パットしてジョーダン・スピース(米国)の前に敗れた。そんなジョンソンの姿をメジャーで何度見てきたことだろう。「昨年の全米オープンの18番のことを考えたら、こんなに嬉しいことはない。自分のことを本当に誇りに思う。今年ここで勝てるなんて、ほろ苦さの混じった思いだけど、良い戦いだった。メジャーで勝つのは格別。何度も勝てそうで勝てなかったのだから」。

 最終ラウンドは5番でパーパットの際ボールが動き、競技委員確認の上だったはずの無罰の裁定が覆り、12番ティグラウンドで処分保留の通告を受ける異例の事態にも見舞われた。最終的にホールアウト後に1罰打が付加されて5番ホールはボギーとなったが、「プレーには影響はなかった。1打に集中することだけを考えた。ペナルティを受ける行為はなかったと今も思っている。だけど、最終的には試合結果に変わりはないので気にしない」。メジャー覇者のメンタリティがそこにはあった。

 「何か背負ってきたものを降ろした思いだ。ようやくメジャーに勝てた。これからどんどん素晴らしい選手になっていくスタートだと思いたい」。前年2位から翌年にメジャー制覇を果たしたのはここ100年で5人だけ。全米最難関オークモントの夕闇を切り裂いた飛ばし屋が、また一つ大きな壁を越えた。

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