<全米オープン 事前情報◇15日◇オークモント・カントリークラブ(7,257ヤード・パー70)>

 ペンシルバニア州の南西部。かつては鉄鋼生産の中心地として栄え、町を流れる3つの川には446もの橋がかかる“橋の町”ピッツバーグ。その北部に流れるアレゲニー川沿いの小高い丘に、今年の海外メジャー第2戦「全米オープン」会場となるオークモント・カントリークラブはある。全米オープンでもっともタフとされるコースはどのようにしてつくられるのか。コース管理関係者に話を聞いた。

【関連画像】教会の椅子“チャーチピューズ”と呼ばれる3番と4番の間にある名物バンカー
 コースを設計したヘンリー・フォーンズは、もともとピッツバーグで鉄鋼業を営んでいたがこれを売却し、息子と共にその利益でコースを作り上げた。ティグラウンドからホールを見渡せるレイアウトながら、大きなアンジュレーションと200を超えるバンカー群。そして、全米屈指の高速グリーンが変わらぬコンセプトで110年以上が経過した今も選手を苦しめている。

 「世界一難しいコースを作る」というフォーンズの思いは、約400名のメンバーが今も受け継いでいる。完全プライベートクラブで約160名がシングルハンデを持つというトップアマが集まるエリート集団はコースに対して極限の難度を求める。日本ではあまりに難しいコースはプレー進行遅延などにつながるため敬遠される傾向にあるが、オークモントの住人達は難しければ難しいほど気分がアガる“ドM”の集まり。それが顕著に反映されるのがやはりグリーンだ。

 この「全米オープン」ではグリーンの速さが13フィートから14フィートに設定される予定となっているが、通常営業では15フィート以上が“常時”キープされる。風が抜けるホールでは17フィートまで上がることもあるといい、アンジュレーションのあるグリーンでボールを止めるのはほぼ不可能だという。ラフの長さはもちろん違うものの、世界のトッププロが技術を競う舞台よりも速いグリーンでプレーすることがメンバーの誇りであり、オークモントの特徴でもある。

 その難度の高さを実現するのが、グリーンに採用されている芝。ポア(ポアナ)と呼ばれるイネ科の植物で、日本では「スズメノカタビラ」呼ばれる雑草として知られている。ベントグリーンに混じることでボールに不規則なコロがりを与えることから敬遠されがちなイメージもあるポアだが、オークモントでは1平方センチあたり約140本(日本屈指の高速グリーンABCゴルフ倶楽部は約40本)という驚異的な芽数をそろえ、2mmまで刈りこむことで高速グリーンに仕上げている。ベントに比べて茎の細いポアだからこそできる芸当だという。

 ちなみに、コースを俯瞰で見た時にグリーン手前の花道の色がフェアウェイと違っているが、実はここもグリーンと同じポアが採用されている。フェアウェイよりも刈り込まれているこのエリアは高速グリーンに対してパターを使うか、アプローチで寄せるかプレーヤーに多くの選択肢を与えるためのもの。コンディションによってはグリーンにキャリーするとボールを止められない可能性もあるため、このエリアを上手く活用するのも好スコアにつながる道と言えそうだ。

 高速グリーンだけでなく、教会の椅子“チャーチピューズ”と呼ばれる3番と4番の間にある名物バンカーや、木が伐採されたことによる風の影響など難しさを表現する要素を挙げればキリがない。難攻不落のオークモントは万端の準備で開幕を待ちわびる。

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