今季2つ目のメジャー大会、全米オープンが間もなく始まる。今年の舞台はオークモントCC(ペンシルベニア州)。この地で全米オープンが開催されるのは9度目になるが、1903年に設計された名門コースをUSGA(全米ゴルフ協会)はその威信にかけて最高の舞台に仕上げてくるはずだ。

日本勢、ウッズ、スピースら写真を毎日更新!USオープンフォト
 というのも、昨年大会の舞台となったチェンバーズベイは、コースのデザインやコンディション、選手やギャラリーの動線などにおいて、「奇をてらいすぎ」「全米オープン史上、最悪の舞台」と酷評された。

 USGAは今年こそ、100年以上の歴史を誇る由緒正しきオークモントを全米オープンらしく仕上げようと必死になっている様子だ。

 そもそもオークモントはオーソドックスなコースだ。3番ホールと4番ホールにまたがって広がる「教会の椅子」と呼ばれる巨大なバンカーこそ珍しい形をしているが、広大な農場の上に英国リンクスを模して造られたオークモントは、ブラインドホールがなく、全ホールが見渡せる風通しのいいワイドオープンでフェアなコースだ。

 日頃からコースコンディションは常に良好で高い難度が保たれている。全米コースレイティング&スロープ・データベースによれば、コースレートは77.8、スロープは148。この数字は、かなりの上級ゴルファーでもなかなか80を切れない難しさを示している。

 固く速いグリーンも1年を通じて維持されているが、全米オープンではその難度をさらに上げ、最高で最難関の全米オープンを実現して昨年大会の汚名を返上できるかどうか。そこにUSGAの威信がかけられている。

 オーソドックスな演出を心がけるUSGAの姿勢は今年の予選2日間の組み合わせにも見て取れる。近年の大会では話題性を高めるために、最も注目の3人、あるいは別の大会で激しく競い合った勝者と敗者、あるいは犬猿の仲と噂される選手どうしを同組にするなど、意図的に作られた奇抜な組み合わせが見受けられた。

 だが、今年はそうしたペアリングは見当たらず、トップ3のジェイソン・デイ、ジョーダン・スピース、ローリー・マキロイは、それぞれ別々の組になっている。

 奇抜ではないものの、目を引いているのは今年のマスターズで惜敗したスピースとオーガスタでアマチュアとして活躍したブライソン・デシャンボーの組み合わせだ。デシャンボーはマスターズ直後にプロ転向し、昨年の全米アマ優勝資格でこの全米オープンに出る道はその時点で放棄せざるを得なかった。だが、地区予選を勝ち抜いて自力出場の道を掴んだところに精神力と勝負強さが漂う。

 世界ナンバー1のデイは、昨年大会では2日目に持病のめまいで倒れ、優勝争いに絡みながらも勝利には至らなかった。が、メジャーチャンプになり、今季はすでに3勝を挙げ、自信を倍増させている今年のデイこそは優勝候補の筆頭と言っていい。

 日本の期待を背負う松山英樹はセルヒオ・ガルシア、ダスティン・ジョンソンと同組。この3人、いずれもメジャー大会をいつ制してもおかしくない実力者揃いだが、いずれもメジャー未勝利だ。まだ全米オープン4回目の挑戦となる松山には「悲願」という言葉を使うのは早すぎるが、ガルシアやジョンソンにとって全米オープン優勝はまさに悲願。

 しかし、「悲願」が最も当てはまるのはフィル・ミケルソンであろう。優勝すればグランドスラム達成だ。オーソドックスな全米オープンらしい全米オープンの勝者という意味でも国民的スターの彼なら最高の役者だが、大会初日に46歳になるミケルソンが最難関のオークモントを攻略できるかどうか。見どころ尽きない全米オープンになりそうだ。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

<ゴルフ情報ALBA.Net>