約3か月後に迫ったリオ・オリンピックで、112年ぶりに正式競技に復帰するゴルフ。開催地のリオデジャネイロにはオリンピックのためにコースが新設され、テストイベントも実施されるなど受け入れ態勢が整いつつある。メダルを争う舞台となるコースは全体的にフラットな海沿いのリンクススタイル。芝は北米大陸のコースでみられるいわゆる洋芝ではなく、日本のコースに多い高麗芝が採用されている。

優勝争いをしたばかりのジェイソン・デイと松山英樹も金メダル候補
 コースの設計を担当したのは、設計家ギル・ハンス氏。自身を含む7名の設計チームが約9か月をかけて一大プロジェクトを遂行した。気鋭の米国人設計家はコースを作ったのか。設計チームの一員でバンカーのシェイプなどを担当したベンジャミン・ウォレン氏にコースの詳細を聞いた。

―プロジェクトはどう動いていった?
すべてはチームで動いていた。チーム内で共有し、全員が案を出し合った中で、ギルがこれは必要、これは必要ではないと決めていくのがプロセスとなっていた。

日本のバブル時代の設計、建設は建築家がプランを沢山立てて設計に投げるという役割分担がはっきりしていた。今回はそうではなく、建築家であるギル自身がブルドーザーを使って長期間グリーンを作ったり、バンカーを設計する準備をしたり、約9か月間すべてを手掛けたゴルフコースなんだよ。

―コース設計にあたりチームがまずしたことは?
ギルとチームはまずメルボルンにある4、5か所の有名なゴルフコースをまわって勉強をしたんだ。そこでの経験は、僕の感性をとても刺激してくれた。僕はバンカーのデザインを担当したんだけど、例えばロイヤルメルボルンのバンカーはとても素晴らしい。世界でトップ5に入る美しいバンカーだと思う。リオのコースもそのバンカーに似せているんだ。

なぜ、オーストラリアかというと、オリンピックが開催されるリオの8月はメルボルンの春の気候に似ているから。リオは湿気のある時期や雨季があって、オーストラリアのほうが少し乾燥しているけどね。

あとオーストラリアのコースを参考にしたのは、自然な植物を多く使ってコースを作っている点だね。たしか、メルボルンでは30か40種類の植物を植えていた。ギルは沢山の植物を使って自然なラフ(ネイティブエリア)を取り入れることに重点を置いていて、メルボルンのゴルフ場からすごく多くのインスピレーションを得たんだ。

※オリンピックコースには多くの自然な植物を使ったネイティブエリアが存在する

―コースの周辺環境は?
ここは自然が守られた環境保護地域。リオはとても水が汚いことが問題だけど、ここは浄水されていて美しいジャングルがある。

沢山の動物もこのジャングルからゴルフコースにきたりすることが、とても素晴らしいゴルフコースにしてくれていると思う。ワニやカピバラや小動物が走り回り、沢山の鳥などもいて、とても素晴らしい風景を作り上げている。ジャングルの奥地に入ると蛇もいるし大変だけど、ここでは自然な生態系をみることができる。ただ、リオは水の品質向上に頑張ってほしいけどね。

昔からあるゴルフコースにはストーリーがあるんだ。例えば最初は都会のビルが見えていて、その後景色が変わり美しい山が見えたりね。リオのコースは最初の1番のティショットではほとんど何も見えないけど、そこからコースを進むにつれてワニが出てきたり、色んな動物の鳴き声も聞こえてジャングルを感じることができる。そういえばナマケモノもこの前見たんだよ!だから、選手はもちろんテレビで見ている観客でさえリアルな自然を感じることができるのは素晴らしいことだと思うよ。

#2 難敵は風と自然のコンビネーション に続く

ベンジャミン・ウォレン(Benjamin Warren)
リオ五輪コース設計チームの一員でバンカーのシェイプ、隣接するショートコースのデザインなどを主に担当した。今年「日本オープン」が開催される狭山ゴルフクラブのバンカーシェイプも手掛けるなど、日本のゴルフ環境にも精通。Golf Environment Organizationのディレクターを5年間務め、世界各国のゴルフ場や協会、ツアーにアドバイスも送っている。

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