2008年に単身渡米し2009年にアメリカ女子ツアーでプロゴルファーとしてデビューした宮里美香。2012年にはアメリカ女子ツアーで初優勝を上げ、日本女子ツアーでも2010年、2013年に日本女子オープンゴルフ選手権競技を制している。今シーズンのゴルフを振り返ってもらいつつ、今後の目標を聞いた。

アメリカでの戦いも続々アップ!宮里美香フォトギャラリー
―アメリカでの7シーズン目となった2015年は賞金ランキング28位という結果になりました。2015年シーズンを振り返るとどんな年でしたか?

 2014年は初めてのシード落ちを経験しました。今までは、シードをとってプレーすることは当たり前。いかに上位で優勝争いをするかを考えていたので、悔しかったですね。でも、ゴルフは何が起こるか分からないスポーツなので、これもひとつの経験なんだと切り替え、新たな気持ちで2015年シーズンに向けて準備しました。

―具体的にどんな準備をしたのでしょうか。
 2014年はシーズン途中でスタミナ切れを感じることもありましたし、技術を上げていくためにも体力は必要。そう考えてトレーニングを重視しました。新しいトレーナーにお願いし、シーズン中もずっと帯同してもらったんです。今までは走ることが大嫌いだったのですが、2015年シーズンは走り込みもたくさんしましたね。トレーニングを続けたことが結果につながりました。内容の濃い一年になったと思います。

―2015年シーズンで印象に残った試合はありますか?
 6月にアーカンソーで開催されたウォルマートNWアーカンソー選手権です。2年ぶりに優勝争いをして2位になりました。実はこのトーナメントとは相性がよく、過去にも2位と3位になったことがあります。この試合、同組で優勝争いをしたのはステイシー・ルイス。彼女の出身大学が地元のアーカンソーということで、私は完全にアウェー状態でプレーしました。セカンドショットをステイシーより近くに寄せても拍手もなにもない状態。「アメリカ人ってキツイな」って思いながらプレーしていました(笑)。

 私は自分が不利な状況や逆境になるほど、「やってやろう!」という気持ちが強くなるタイプ。完全アウェイの中でも自分が納得するプレーができましたし、プレーしながらこの経験は自分のプラスになると思いながらプレーしていました。結果、2位という成績で終わり、自分の居場所はここなんだ、常にトップ選手と優勝争いをしないといけないと改めて認識できました。

―2015年シーズンはフェアウェイキープ率2位でしたね。
 私にとって、ドライバーでフェアウェイをキープするのはゴルフのカギのひとつです。ティショットで良い場所をキープして、セカンドショットでピンをデッドに狙う。これが私のゴルフのスタイルです。でも一時期、フェアウェイキープ率が下がったときは、スコアにつながりませんでした。2015年シーズンはクラブ契約をフリーにして、自分の好きなクラブを使うことにしたんです。こうすることでショットへの自信が戻ってきましたね。

 私は狭いホールになればなるほど集中力が高くなるタイプ。フェアウェイが広いときの方が狙いどころが定まらず、集中力を持続できないときがあります。狭いホールでは、例えば「あの1本の木」「あのバンカーの右端」など、できるだけ小さいターゲットを決めたらそこだけに集中していきます。あとは何も考えず、フィニッシュまで振り切るだけ。ターゲットをしっかり設定せずにティショットを曲げている人は、小さい目標を見つけると集中できると思いますよ。

―平均パット数も2位でしたが、この要因はどこにあると思いますか?
 パターを替えたのがその理由のひとつです。中尺パターにしてヘッドも替え、ストロークが安定しました。2015年シーズンは、ショートパットの練習もかなりしましたね。パッティングの調子が悪いと、ショットにも悪い影響が出てしまい、プレーのリズムが悪くなってくるんです。短いパットが入らないと、セカンドショットで「もっと近づけなければ」という気持ちが強くなり、自分にプレッシャーをかけてしまいます。また、セカンドショットでピンを狙うにはティショットも良い位置につけないといけませんし、前のホールで納得できるパットができていなければ、ティショットまでひきずってしまうこともあるんです。

―シーズン中はどんな練習をしていたのでしょうか。
 カップの周りに円を描くように8本ティを刺し、ティの位置から順番に打っていきます。外してしまったらひとつ前のティに戻って打ち直し。これを4フィート、5フィート、6フィートの順番で行います。同じカップを狙うわけですが、スライス、フック、上り、下りもすべて違うラインから打つので毎回プレッシャーを感じながら練習できます。同じラインで打っていると、ラインもタッチも分かっているので集中できなくなってくるんですよね。私はこの練習でショートパットの自信がつきました。おかげでショットへの余裕もでて、プレー全体のリズムがよくなったんです。

 アマチュアゴルファーにもこの方法がお勧めです。スタート前で時間がないときや場所がとれないときは、4本のラインでも十分効果があると思います。

―2016年シーズンはどんな目標を持って挑みますか。
 ひとつはオリンピックに出場してメダルをとること。ゴルフの代表選手が決定するのは7月の全米女子オープンの後。それまで、気持ちを切らさずにプレーして世界ランキングで日本人上位2名に入ることが目標です。

 オリンピックに復活したのは112年ぶりですから、出場する選手は誰も経験したことにない未知の世界で戦うわけです。どんなプランでプレーすればいいのか誰も分からない状態。そんな中でプレーするのは楽しみだし、負けたくない気持ちは強いですね。

―もうひとつの目標は?
 アメリカ女子ツアーに参戦してからずっと目標にしているメジャー制覇です。メジャーは他のトーナメントに比べてセッティングが厳しいので、その中で一番をとれる選手というのは真の世界一になった証拠だと思うんです。メジャーで上位にくる選手は、だいたい世界ランキングでも上位の選手。他のトーナメントは誰が勝ってもおかしくはありませんが、メジャーはやはり実力がないと勝ち上がれません。メジャーの中でも一番セッティングが難しい全米女子オープンで優勝することが最大の目標ですね。

 日本では日本女子オープンで2回優勝しましたが、私は厳しい状況になるほどやってやろうという気持ちが強くなるタイプ。ですから、セッティングが難しい試合でこそ自分の力を発揮できると思っています。日本のファンのみなさんには、厳しい状況の中でプレーする私のゴルフをみてもらいたいですね。そして、自分の力を出し切り、優勝する姿をみなさんに見てもらいたいです。

【マンシングウェア契約プロ 宮里美香(NTTぷらら所属)】
1989年沖縄県那覇市生まれ。父親の影響で7歳からゴルフを始め、ジュニア時代から活躍。2004年、14歳8か月の史上最年少で日本女子アマチュア選手権を制覇。2008年にアメリカ女子ツアーの最終予選会を受験。12位で突破し、日本の女子プロゴルファーとしてはじめて日本ツアーを経ずにアメリカ女子ツアーでプロ転向を果たした。
2009年にアメリカ女子ツアーでデビューし、ルーキーイヤーはトップ10入りが4回と健闘。また、2009年はアメリカを主戦場にしながら日本ツアーにスポット参戦し、日本女子オープンで優勝を飾った。
2011年は、4大メジャー中、3大会でトップ10フィニッシュを果たし、4年目の2012年にはセーフウェイクラシックで念願の米女子ツアー初優勝を達成。22歳での初優勝は日本人女子最年少記録。このシーズンは全英リコー女子オープン、日本女子オープンで4位に入るなど、メジャー大会で強さを発揮。世界ランキング10位入りも果たした。
2013年は日本女子オープンゴルフ選手権競技を2回目の制覇。23歳での同大会複数回優勝は史上初。初めてのシード落ちを経験した挑んだ2015年シーズンは、トップ10入り5回、優勝争いも演じ、フェアウェイキープ率2位、平均パット2位という成績でシード権を復活させた。2016年シーズンは、長年の目標である「メジャー制覇」、そしてオリンピック出場を目指す。

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