欧州ツアーの最終戦「DPワールド・ツアー選手権」でローリー・マキロイが勝利を飾り、年間を通してポイントで競い合うレース・トゥ・ドバイでもマキロイが総合優勝に輝いた。

夏場にサッカー中に故障 松葉杖をつくローリー・マキロイ
 最終日終盤、マキロイは17番(パー3)で池につかまり、ピンチに見舞われた。しかし、12メートルのボギーパットを沈め、2位に1打差で勝利をつかんだ。

 「僕がこれまでに決めたボギーパットの中で最長で最高のボギーパットだった」

 マキロイがレース・トゥ・ドバイで総合優勝を飾ったのは2012年、2014年に続く3度目。だが、今回は「いろいろあった」末の総合優勝ゆえ、単なる喜び以上に、いろいろな意義がある。

 そもそもマキロイは今年のこのレース・トゥ・ドバイへの参加自体が危うくなっていた。今年7月、友人たちとサッカーに興じていた際に起こった足首の故障で、彼は直後の全英オープンやWGCブリヂストン招待など数試合を欠場。

 その影響で、マキロイの今季の欧州ツアー出場試合数は最大で「12試合までしか達しない」という見通しになった9月ごろ、欧州ツアーはマキロイに対する特別処置を講じた。

 本来は年間13試合以上に出場しなければレース・トゥ・ドバイには参加できない。だが、マキロイの場合は、9月以降のレギュラー大会に最低でも3つ以上出場し、最大限の出場努力をすることを条件に、年間12試合でもレース・トゥ・ドバイに参加できるという特例を作った。

 言うまでもなく、他選手や周辺からは「不公平」の声が上がったが、マキロイは、きっぱりと、こう言い返した。

 「他の誰かが年間23試合に出て稼ぐ以上の賞金を僕は年間12試合で稼ぐからこその特別処置。それがツアーの決断だ」

 自分は誰よりも効率的に誰よりも多く稼いでいるのだから、文句ないだろうという意味である。

 それが弱肉強食の競争社会における正義正当なのか、それとも傲慢なのか。その議論を展開したらネバー・エンディングになる。そんな中、本当に年間12試合だけで欧州ナンバー1になったマキロイの総合優勝は、ともあれ、蔓延する諸説を払拭し、不平不満を実力で封じる形になった。

 「この4年で3度目のレース・トゥ・ドバイ総合優勝。それは僕の今年始めの目標であり、シーズン半ばも、シーズンエンドのここ数週間も、ずっとそれが目標だった」

 初志貫徹。有言実行。ともあれ、あっぱれである。そして、彼の勝利は「12試合でOK」とした欧州ツアーの決定が「選手のため」「ツアーのため」の両面において、ある意味、正しい方向を向いていたことを裏付ける形になった。

 マキロイに対する特例処置は、欧州ツアーが11月上旬になって発表した来季からの義務試合数に関する規定変更の伏線であったことが見て取れる。

 これまで欧州ツアーの義務試合数はメジャー4試合、WGC4試合を含む年間13試合だった。が、来季からはメジャー4試合、WGC4試合を除く年間5試合になる。

 これは、メジャーやWGCの出場資格が無い欧州選手が米ツアーで戦いながら欧州ツアーのメンバーシップを維持しやすくするための救済のための変更だ。従来の規定だと、メジャーやWGCに出られない選手は、米ツアーに参戦しながら欧州ツアーのレギュラー大会13試合をこなさなければならなかった。が、新規定なら欧州のレギュラー大会は5試合でOKになる。

 メジャーやWGCに出場できるマキロイなど上位選手にとっては今回の規定変更の影響は無に等しい。だが、プロ転向したばかりの若者や新人、世界ランクでトップ50圏外になりつつ米欧双方で踏ん張っているイアン・ポールターなどにとっては負担が大幅に軽減される。

 ワールドワイドなプレーを目指す選手たちが少しでも戦いやすいよう、規定を柔軟に変えながら対応していくという点はマキロイ特別処置にも義務試合数変更にも共通している。欧州ツアーは、時代に即したツアーの在り方を真剣に考え、率先して実行しつつある。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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