<アジア・パシフィック アマチュア選手権 最終日◇4日◇クリアウォーターベイGC(6,513ヤード・パー70)>

 傘は折れても心は折れていなかった。香港にあるクリアウォーターベイGCで開催された「アジア・パシフィック アマチュア選手権」は最終ラウンドが悪天候のため中止となり54ホール終了時点の成績で最終結果が確定した。日本勢最高位はトータル3アンダーで3日目を終えていた長谷川祥平。12位タイからわずかな可能性を信じてまさにティオフしようとした時に、中断を告げるホーンが鳴った。

前日は強風でリフトカーが転倒する事故も発生
 強まる雨に傘をさしてクラブハウスに戻る道のりで、突如吹いた強風に煽られゴルフ用の頑丈な傘がいわゆる“おちょこ”状態になって使用不可能となった。再開を待つ間は韓国代表チームと談笑するなどしてリラックスして過ごしたが、雨が弱まり再開の可能性が出てくると「気合い入ってきた!」といち早くパッティンググリーンに飛び出した。

 風速20メートル近い暴風雨はもちろん厳しい戦いとなるが、荒れれば荒れるほど上位も崩れる可能性がある。追いかける立場としては混戦は望むところだったが、追撃のチャンスは与えられないまま長谷川にとって3度目のアジアアマは幕を閉じた。

 現在大阪学院大4年で来季のプロツアー参戦を見据えて予選会を受験中。アジアアマに出場するのはこれが最後となる。将来はPGAツアー参戦を描く長谷川の海外への思いが強まったのも今大会だ。日本では経験できないコースで、日本人とはまったく違った攻め方をしてくる海外勢。「普通にはない雰囲気で、日本には無いコースだったし、オーストラリアの選手とかは飛距離やパワーの差も感じて、自分もトレーニングをするようにもなった」。

 今年から管理栄養士に相談しながら食事改善に取り組むようになったのも、海外勢とのパワーの差を痛感したからこそ。「飛んで、曲がらなくて、ショートゲームも上手いっていう選手がいるのが当たり前になっている中で、自分の武器というか戦えるものを作るのが大事」。得意のアイアンを磨きつつも、パワーをつけて飛距離を伸ばしていく。それは今大会を勝って飛躍した松山英樹も通った道。「(松山さんは)そういうゴルフだと思う。パワー的にも世界でやっていけている」。マスターズへの扉は開けなかったが、181センチ78キロの体はまだ可能性を十分に秘めている。

 中止決定後、ざわつくクラブハウスで長谷川は「でも、ちょっとやってみたかったな」。ボソリとつぶやいた。強風強雨の中で自分がどんなゴルフをできるのか。旺盛な上昇志向と好奇心は未来の飛躍につながっていくはずだ。

<ゴルフ情報ALBA.Net>