<全英オープン 3日目◇19日◇セントアンドリュース・オールドコース(7,297ヤード・パー72)>

 4日目にずれこんだ「全英オープン」のムービングデー。22歳のアマチュア、ポール・ダン(アイルランド)が6バーディ・ノーボギーの“66”で回り、トータル12アンダーでジェイソン・デイ(オーストラリア)、聖地の前回覇者ルイ・ウーストハウゼン(南アフリカ)と並んで首位タイに浮上した。アマチュアでの全英優勝となれば生涯アマチュアを貫いた球聖・ボビー・ジョーンズが勝った1930年大会以来、85年ぶりの大偉業となる。

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 前日までと打って変わって穏やかな気候に恵まれた第3ラウンドのスタート前。練習場で黙々とウォームアップを続ける日本の松山英樹の後ろに、“彼”はいた。後方のスタンドに陣取った多くのファンは、日本のショットメーカーの鋭い弾道にうなりこそすれ、ひときわ小柄なアイルランドアマチュアへの関心は薄かったはずだ。

 しかし、この日の主役はその22歳だった。前傾角度がほとんど変わらない小気味良いスイングから放たれる弾道が聖地を切り裂いていく。前半だけで4つのバーディを奪うと後半も2バーディでムーブアップ。「14番、17番のティショットは左からの風で、右はトラブルになるのでナーバスになった」とアマチュアらしからぬ冷静さで難関ホールも切り抜けると、大喝采の中笑顔で18番のシンボル・スウィルカンブリッジを渡った。

 優勝を争う上位に名前を連ねるのはビッグネームばかり。「カーヌスティ(07)とバークデール(08)の全英オープンで勝つ姿は何度も何度もビデオで見てきた。アイルランドゴルフの最高のアンバサダーだよ」と尊敬してやまない母国の英雄、パドレイグ・ハリントンも2打差に控えている。それでも、あどけなさを残した表情を引き締めてダンは言った。「(勝つことは)あり得ない話じゃない。勝つために必要なスコアで回ることができると思う。他の選手のスコアはコントロールできないけど、ベストを尽くして、明日の終わりを迎えるだけさ」。

 誰もが予想しなかった第3ラウンドの終わりに「全英オープンで首位に立っているのは、超常現象みたいなものだよ」とダンは笑う。だけど、今の状況は確かに現実だ。「もしアマチュアのトーナメントなら、このスコアは驚くことではないよ。ただ、ラッキーなのは世界で一番大きな大会でそれができているということさ」。

 27年ぶりの月曜決着で狙うは85年ぶりの快挙。スタートは最終組“ポール”ポジションだ。


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