<ISPSハンダグローバルカップ 最終日◇28日◇ヴィンテージゴルフ倶楽部(6,774ヤード・パー71)>

 山梨県にあるヴィンテージゴルフ倶楽部で開催された新規トーナメント「ISPSハンダグローバルカップ」。見事初代優勝者に輝いたのは武藤俊憲だった。

国内男子の最新情報を写真でチェック!
 ひたすらに自分を信じ続けた20ホールだった。前半チャンスを決められない場面もあったが「それでも勝てるときは勝てるさ」と気持ちを切り替えて残り半分に勝負を懸けた。その後半もバーディとボギーを繰り返す展開となるが、「自分のミスではない。仕方ないかな」と冷静さを失うことはなかった。

 迎えた16番。ティグランドでボードを見るとトップのアンジェロ・キュー(フィリピン)はすでにホールアウトし14アンダー。12アンダーの武藤は、残り3ホール2打差を埋めなければいけない状況に。だが、ここでも下を向かなかった。「残りをバーディ、パー、バーディで行ける」。キャディともう一度気を引き締めた。

 その16番で20メートルのバーディパットをねじ込むと、17番では際どいパットを沈めてパーをセーブ。最終18番パー5では「いつもなら入らないライン。だけど今日は入るイメージが湧いた」と5メートルを決めバーディ奪取。言葉通り土壇場でプレーオフへと持ち込んだ。

 余韻冷めやらぬ18番で行われたプレーオフ。1ホール目は共にパーで迎えた2ホール目に決着はついた。ティショットを左の林に入れもたつくキューを尻目に、武藤はグリーン手前のラフからの3打目をワンピンにピタリ。最後はバーディで栄冠を手にした。

 今大会の勝利は2012年の「関西オープン以来」。約3年も勝利から遠ざかった。その間には色々なことが起こった。昨年は負った左足首を負傷。「もうゴルフができないかもしれない」と思ったりもした。前回の優勝時は何も分かっていなかった次女も大きくなり、“お父さん早く勝ってくれないかなぁ”と言い出した。理解できるようになった娘の成長を感じつつも、自分は成長できているのかと自問自答する日々。もどかしさで張り裂けそうだった。

 だから、今日のスピーチでは優勝して初めて涙を浮かべてしまった。「子供の一言は重いですよね。勝ちたいけど勝てないのもあるけど、それでも優勝してほしいんだなという期待を感じて。やっと勝てて良かった」。その想いが37歳の声を震わせた。

 「海外の強い選手が多く来てるけど、ホームだし自分たちが勝ちたかった。日本人だって上手い選手がいるんだよってアピールできたと思う」。重責を果たした男は喜びというよりも安堵の表情が浮かべて言った。「今週だけはイアン・ポールターよりも上手かったということだよね(笑)」。娘から“マキロイやスピースに勝って”と言われても大丈夫なように。明日からも自分を信じて突き進んでいく。

<ゴルフ情報ALBA.Net>