暦が2015年に変わった。米ツアーの新シーズンは10月からすでに始まっているが、西暦が変われば、やっぱり気分は一新される。選手たちが「今年こそ」と心に誓った想いは人それぞれ。だが、ファンや関係者が「今年こそ実現してほしい」と期待すること、実現したらゴルフ界が盛り上がるであろうこと、ビッグ2は、おそらく、この2つだ。

みんなの意見 今年見てみたい夢のゴルフシーンは?
 筆頭は、やっぱりこの人。タイガー・ウッズが今年こそメジャーチャンプとして復活することを願う声は大きい。12月末に39歳になったウッズ。近年の成績やパフォーマンスに最大の影響を与えているのは「年齢だ」という言葉をウッズ自身がしばしば口にしているだけに、30歳代最後の1年はメジャーで勝てる最強のウッズに戻るためのラストチャンスという見方も強まっている。

 2008年の全米オープン以来、メジャー優勝から遠ざかっているウッズが、今年、メジャーを再び制することができるとすれば、その可能性が一番高いのは過去4勝を挙げているマスターズだと見る向きは多い。

 とはいえ、4月のマスターズ開幕まで実質的にはあと3か月しかない中で、心技体すべての調整が間に合うのかどうか。昨季のウッズは背中の手術を受け、戦線離脱した期間も長く、プレーオフ4戦への進出も叶わなかったため、彼のシーズンは8月で終了してしまった。

 昨季の出場試合数は、わずか7試合。戦い方や試合勘から離れてしまったのではないかという危惧がある。メジャー優勝どころかレギュラー大会での優勝もなく、勝ち方を忘れてしまったのではないかという危惧もある。

 だが、それでもなおウッズのメジャー勝者としての復活、とりわけマスターズ優勝に期待が寄せられるわけは、新コーチとなったクリス・コモとの二人三脚が短期間で成果を上げると思われているからだ。

 ウッズもコモもスイングを大幅改造するつもりはなく、ウッズの体そのものが覚えている本能的、潜在的な動きを活かしつつ、仕上げていく方針だ。それゆえウッズはコモを「コーチ」とは呼ばず、「コンサルタント」と位置付けている。相談しながらのチューンナップならスピーディに効果が上げられ、3か月後のマスターズに向けた調整も間に合うかもしれない。

 そんなふうにウッズのマスターズ優勝を期待する一方で、ローリー・マキロイのマスターズ優勝を心待ちにする声も大きい。2011年の全米オープン、2012年の全米プロ、そして昨年の全英オープンと全米プロを制したマキロイが、今年のマスターズを制すれば、その時点で夢のグランドスラム達成となる。

 2014年の戦いぶりを振り返れば、マキロイには勢いがあり、戦い方、勝ち方、とりわけメジャーでの勝ち方やその感触が彼の心と体に生々しく残っているはずだ。若さゆえのエネルギーやパワーもある。ウッズが失ったもの、ウッズに不足しているもののすべてがマキロイにはある。

 しかし、マキロイには勝利を阻むかもしれない余計なものもある。2011年のマスターズ最終日に大崩れした、あの苦い思い出。すでに「いい経験、いい勉強になったと割り切っている」とマキロイは言っているけれど、いざオーガスタで優勝を目前にしたとき、悪夢が再び蘇る危険性はもちろんある。ゴルフはメンタルなゲームだからこそ、悪夢は何度も蘇る。そこにグランドスラム達成というプレッシャーが加われば、悪夢はさらに巨大化するかもしれない。

 そのプレッシャー、その悪夢を克服して優勝したら、もはやマキロイに怖いものは何一つなくなるだろう。その瞬間、無敵のマキロイ、最強のマキロイ時代がそこに生まれる。

 ウッズがマスターズを制して、メジャーで勝てるウッズへの復活を果たすのか。それともマキロイがマスターズを制して、グランドスラムを達成し、マキロイ時代を確立するのか。年明けから4月まで、米ゴルフ界はマスターズに向かって、まっしぐらになる。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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