タイガー・ウッズが自ら設計・監修した初のゴルフコースが、先週16日にメキシコでオープンした。96年にプロデビューして以来、ゴルフ界の王者であり続けてきたウッズだというのに、自身のデザインによるゴルフコースはこれが初だと聞くと、ちょっぴり耳を疑いたくなる。だが、正真正銘、今回が「ウッズのコース」の第1号だ。

タイガー・ウッズが新スイングで復帰。今季は何勝すると思う?
 もちろん、以前から構想や計画はあった。工事が始まっていたプロジェクトもあった。しかし、リーマンショックによる経済の衰退や危機、ウッズ自身の不倫騒動、あるいは大型ハリケーンによる被害など自然災害の影響もあり、これまでメキシコ、ドバイ、ノース・カロライナの3か所で「ウッズのコース」プロジェクトは、ことごとく立ち消えになった。だが、このたび開場したメキシコのエル・カードナルCCは、構想から8年がかりで、ついにオープニングセレモニーを行なうことができた。

 そのセレモニーに登場したウッズの肉体はすっかり痩せ細っていた。2週間前に開催された「ウッズの大会」ヒーロー・ワールド・チャレンジの際、体調不良に見舞われ、そのせいで体重が7キロほど減ってしまったそうだが、表情は生き生きしていた。すでに巨万の富を築き、メジャー14勝、通算79勝を挙げているウッズだが、そんな王者でも「初」が付くものを得る喜びは、やっぱり新鮮なのだろう。

 これまでの「ウッズのコース」プロジェクトは企画倒れ続きだったが、今後は2つ目、3つ目の「ウッズのコース」が次々にオープンしていく予定だそうだ。テキサス州内にも会場予定のコースがある。つい先日は不動産王のドナルド・トランプとウッズが笑顔で肩を組む写真が米ゴルフ界で一斉に出回った。

 あれはウッズとトランプのゴルフコース設計コラボレーション・プロジェクトの発表時の記念撮影だった。トランプが所有するドバイの高級リゾート内にウッズのコースを作るという計画。そんなふうにビジネスに精を出すウッズの姿を眺めると、そろそろ彼も現役のプレーヤーから引退してしまうのだろうかと不安になるが、ウッズ自身が、その可能性をきっぱり否定した。

 「ゴルフコース設計事業は一度に2〜3コースまでしかやらないつもりだよ。だって僕はまだプレーヤーとしてピークにあるし、どうしたら試合で勝てるか、どうしたらメジャーで勝てるかに僕はまだ集中しているからね。世界中に僕のゴルフコースを15コース設計して開場するためには、どうにも時間が足りないよ」

 ビジネスに着手しつつも、「まだピーク」「まだ勝つことに集中している」と強調したウッズ。あんまり強調すると、逆に切羽詰まった感が滲み出してしまうものだが、今はまだプレーヤーとしての戦績を挙げることがプライオリティで、ゴルフコース設計はあくまでもサイドビジネス。「ウッズのコース」第2弾、第3弾を開場させることよりもメジャー15勝目を挙げることのほうが重要だと言い切ったウッズ。そんな彼の言葉を聞いて、米ゴルフ界の多くの関係者が「ああ、良かった」と胸を撫で下ろしたはずだ。

 ゴルフファン、タイガーファンにとっても、うれしいもの、待ち遠しいものは、ゴルフコースではなく、勝利を挙げる彼の雄姿だ。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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