全英オープン、全米プロゴルフ選手権と2つのメジャーを含む出場試合3連勝を飾り、世界ランキング1位の座に浮上したローリー・マキロイ(北アイルランド)。圧倒的なショット力を武器に難コースをねじ伏せていく姿は新時代の到来を予感させた。

マキロイ時代の検証 #3 マキロイ独走の時代は来るのか?
 では、新たな時代を作る25歳の強さの秘密、魅力はどこにあるのか。海外を拠点に活動を続ける、プロゴルファーでゴルフアナリストのアンディー和田氏にその秘密を聞いた。(シリーズ最終回)

・25歳でメジャー4勝目

 今夏メジャー競技「全英オープン」と「全米プロ選手権」で連勝したローリー・マキロイ。25歳3か月6日の若さで既にメジャー4勝目を挙げたということで過去に同じような若さでメジャー競技を勝ち取ったタイガー・ウッズやジャック・ニクラウスなどと比較されるようになっている。

タイガー・ウッズ 2000年全英オープン 24歳6か月23日
ジャック・ニクラウス 1965年マスターズ 25歳2か月21日
ローリー・マキロイ 2014年全米プロ 25歳3か月6日

・プロ転向後、ツアー初優勝までの道程

 1989年5月4日生まれ、北アイルランド出身のローリー・マキロイがプロ転向したのは2007年9月だった。欧州ツアー参戦2試合目となる「アルフレッド・ダンヒルリンクス選手権」で4位、翌週の「マドリードオープン」で3位に入り翌年の欧州シード権を獲得したマキロイ。 多くの試合で優勝争いに絡むものの最終日の詰めが甘く、初優勝するまでにはプロ転向後1年5か月かかった。

 39試合目となる2009年「ドバイ・デザートクラシック」で優勝。米ツアーでは参戦17戦目、2010年「クエイルホロー(現ウェルスファーゴ)選手権」で初優勝を飾っている。ちなみにタイガーはプロ転向後5試合目「ラスベガス インビテーショナル」で初優勝している。

・マスターズでの苦い経験(2011年)

 マキロイにとってメジャー戦、最終日の厳しさを経験したのは2011年マスターズだった。3日目を終えて4打差の単独トップと念願のグリーンジャケットに向かって絶好のポジションにいたマキロイだったが、前半で1オーバー、1打差と迫られる中で10番でティーショットを左に曲げてトリプルボギー。後半は「43」と大きくスコアーを崩してしまい最終日は「80」。最終順位は15位まで落ちてしまった。(優勝はC・シュワーツェル)

・歴史的な記録を残した 全米オープン制覇、全米プロ優勝

マスターズで優勝を逃がしてしまったマキロイは2か月後、全米オープンでメジャー初制覇を達成。最も過酷な戦いと呼ばれる全米オープンで通算16アンダー、2位と8打差をつける圧勝。そして、翌年の全米プロでも通算13アンダー、2位とは8打差と攻めのゴルフを展開して圧倒的な強さを見せつけていた。2012年はアメリカと欧州の両ツアーで賞金王。世界ランクでは2012年3月から2013年3月までの間37週間トップの座に君臨していた。

・用具契約変更、所属事務所問題(2013年)

 世界ランク1位になると注目度は上がりマキロイにとって自身への目標設定、周りからの期待や取材の要求度も増してくる。2013年1月はこれまで使っていたボールやクラブを一新、NIKEと総合契約(10年推定約250億円)を発表。加えて2011年夏から交際を始めた女子テニス選手(キャロライン・ウォズニアッキ)と接する時間に対しても批判を受けるようになる。コース内のパフォーマンスは前年度のような冴えがなかった。

 3月ホンダクラシックでは2日目8ホール消化して7オーバーという時点で「親知らず」の痛みを理由に途中棄権、全米オープンではクラブを折り曲げてしまうという失態をみせるなど奮わず41位。欧州ツアーではBMW PGA、アイリッシュオープンで予選落ちを喫すると全英オープンでは“79”“75”、通算12オーバーで会場を去るなど完全に見失ってしまっていた。

 加えてマキロイはプロ転向後所属してたISMという所属事務所から2011年11月にアイルランドベースのホライゾンスポーツに移籍。しかしまた2013年5月にはホライゾンを辞めて自らの独立会社を立ち上げていた。 しかしホライゾンからの訴訟問題があり精神的にもゴルフに集中できなかったと関係者は証言していた。

・マキロイ、バージョン2.0

 転機を迎えたのは9月の韓国オープンだった。優勝こそできずに2位だったがやっと信頼できるドライバーを見つける事ができ、従来のマキロイの攻めるゴルフのキレが戻って来た。

 年末にはアダム・スコットの豪州3連勝を阻む逆転で「豪州オープン」を制覇。2014年シーズンが始まると優勝争いに絡む回数が増えてくる。1月欧州ツアー、中東アブダビでは修理地扱いからの救済処置の問題でペナルティが課されてしまい優勝を逃がすものの2位フィニッシュ。 3月フロリダ・ホンダクラシックでは4人のプレーオフ惜敗の2位。5月欧州最高峰競技「BMW PGA選手権」では最終日7打差を逆転しての勝利。

 前年度低迷していたこともあり全英オープン直前のローリー・マキロイの世界ランクは8位だったが、全英オープン、WGC世界ゴルフ選手権 ブリヂストン招待、全米プロ選手権と出場3連勝で世界ランクポイント276点の荒稼ぎをして、再度世界ランク1位に返り咲いている。

・使用ギア

ドライバー: NIKE コバート 2.0 8.5度設定、三菱レイヨン Kuro Kage XTS 70X
3番ウッド: NIKE コバート 2.0 15度、フジクラ Rombax Pro 95 (X)
5番ウッド: NIKE コバート 2.0 15度、フジクラ Rombax Pro 95 (X)

アイアン:3番から9番、PW NIKE VR Proマッスルバック、プロジェクトX 7.0
ウェッジ: 54度、59度

パター: NIKE Method The Oven プロトタイプ 006モデル

ボール: NIKE RZN ブラック

注1:全英では5番ウッドの替わりに2番アイアンを使用(NIKE MM プロトタイプ)
注2:全米プロでは3番アイアンを抜いてウエッジを46度、52度、56度、59度の4本設定

文 アンディー和田

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