<フジサンケイクラシック 最終日◇7日◇富士桜カントリー倶楽部(7,437ヤード・パー71)>

 国内男子ツアー「フジサンケイクラシック」の最終日。プロ11年目の岩田寛がトータル10アンダーまでスコアを伸ばして悲願のツアー初優勝を飾った。

目指すは賞金ランク5位以内 岩田寛が挑む米ツアーQT再挑戦への道
 今から6年前の08年大会。決めればツアー初優勝が決まる岩田の1メートルのウィニングパットはカップ右に外れた。そして迎えた2014年の富士桜の18番グリーン。この6年の大改修によりグリーン形状やカップ位置は変わったものの、岩田は決めれば再び優勝が大きく近づくバーディパットを迎えていた。

 トータル9アンダーで岩田、I・H・ホ(韓国)、ブレンダン・ジョーンズ(オーストラリア)が並んで迎えた最終ホール。「ひどいスイングだったと思うけど、気持ちだけですね。近くに寄せることしか考えてなかった」。ティショットでフェアウェイをとらえるとピンまでは約190ヤード。リスクを恐れることなく狭いサイドからドローで回してピンに突っ込んだ。

 バーディチャンスは6年前とほぼ同じ1メートル弱。「6年前は僕にはスライスに見えたけど、メモにフックと書いてあったので、メモ通り打ったらスライスした。最後はメモを見ないで自分を信じて打ちました」。ほぼ真っすぐのラインをいつも通り表情を変えることを流し込むと、18番グリーンは大きな歓声に包まれた。

 最終組のプレーを見届けてアテストエリアから出てきた岩田を待っていたのは、11年分の手荒い祝福。大学で同級生の宮里優作、毎年合宿を共にする谷口徹が涙ながらに浴びせてくるウォーターシャワーを全身で受け止めて、ポーカーフェイスの33歳は初めて大きな笑顔を弾けさせた。

 切れ味鋭いショットに、ツアー仲間もうらやむパッティングセンス。しかし、有り余るポテンシャルとは裏腹に誰よりも期待されてきた勝利からは見放され続けてきた。それでも、そんな雌伏の時を苦しみに感じたことはなかった。「そんなに苦労してきたわけではない。好きですからゴルフが」。どれだけ優勝のチャンスを逃しても、シードを落としそうになっても、ポーカーフェイスに思いは隠してただ黙々と自分と向き合い続けた。

 今振り返れば「6年前に勝たなくて良かったと思う。当時だったら調子に乗ってその後シード落ちしていたかもしれない」。プロ生活11年での初優勝にも「短くも長くも感じていない」と特別な思いはない。それは、そのポーカーフェイスのように何にも揺るがない“岩田寛のゴルフ”を作るための時間。そこに優勝という勲章が加わっても、「変わりたくないですね。今までやってきたことを明日からもいつも通りやるだけ」。

 ウィニングボールは“いつも通り”18ホールプレーを記録してくれたボランティアのマーカーさんに惜しげもなくあげた。その行動にこそ、何にも揺るがない強さを見せた岩田の11年の歩みが表れていた。

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