<ANAオープン 最終日◇21日◇札幌ゴルフ倶楽部輪厚コース(7,063ヤード・パー72)>

 「うわー夢がかなったー」。18番グリーンのど真ん中で8人のANA客室乗務員に囲まれての念願の記念撮影に宮本スマイルが咲いた。ANAオープンの最終日。多くの選手がスコアを伸ばし合う大混戦の中、最終組から抜け出した宮本勝昌と谷原秀人がトータル18アンダーで並んで勝負はプレーオフに突入。1ホール目でバーディを奪った宮本が2010年以来4年ぶりとなるツアー通算9勝目を挙げた。

4年ぶりの優勝を果たした宮本勝昌の最終日はフォトギャラリーで!
 首位タイでスタートした最終日も、兄弟子の姿を思い浮かべて冷静に回りきった。「今日も藤田寛之だったら凡ミスはしないだろうとか考えながら。バーディ先行でしたけど、あえて手綱をキュッと引きながらやっていましたね」。7番からの3連続バーディで抜け出しても、12番でボギーを叩いて後退しても気持ちは変わらない。終盤はリードを許す展開となったが、17番で3打目を1メートルにつけてバーディ。谷原と並んで正規ラウンドのゴールテープを切った。

 プレーオフ1ホール目ピン左約7メートルのバーディチャンスは、正規の18番左カラーからのアプローチのラインと重なった。「ラインの雰囲気は出ていたので、狙えるところは狙おうと」。今週から新たに使用しているイエローボールは、緩やかなスライスラインを描いてカップイン。グリーンサイドに苦楽を共にしたトレーナー、同門の藤田、上井邦裕を見つけるとわずかに目に涙が浮かんだ。

 師匠の芹澤信雄からは、前日夜にLINEで「明日も粘れよ。そして俺たちを泣かせてくれ」と激励のメッセージをもらった。「師匠からこんな言葉をもらえるなんて」と感激したが、なぜか返したメッセージは普段は使わないガッツポーズの絵文字。宮本らしいちょっとしたおふざけの裏に、師匠への感謝と18ホールへの闘志を込めた。

 42歳でのツアー通算9勝目。宮本の持つポテンシャルからすれば、その歩みは少し遅かったとも言える。30代の間にメジャーを3度制すなど大舞台でその真価を発揮。藤田は「宮本と僕はウサギとカメ。彼はメリハリをつけてやるガッと行くタイプで、僕はずっとコツコツやっていくタイプ」と宮本を評した。

 しかし、宮本自身は「藤田さんみたいにどうやったら上手くなるかとか考える貪欲さが欠けている。それがいけないんでしょうね」と悩んだこともあった。師匠の芹澤からも「優勝すると気を抜くところがある」と小言をもらい、この4年は賞金王にまで輝いた藤田の背中を常に追いかけてきたが優勝には届かなかった。「予選会に回らないといけないかな」などと藤田に弱音をこぼすこともあった。

 それでも、ようやく迎えた40代で初の歓喜は「良い時も悪い時もあると思ってやってきたし、結果が出ていないとは思っていなかった」と最後まで前向きに宮本らしく笑顔で振り返った。藤田は言う「自分とタイプは真逆だけど、ウサギはウサギ。宮本は宮本らしくやればいいんですよ」。兄弟子の言葉を知ってか知らずか、客室乗務員の横で満面の笑みを浮かべる“らしさ”を見せて勝者はカップを掲げた。


<ゴルフ情報ALBA.Net>