今週、米ツアーは早くも2014―15年シーズンの開幕戦、フライズコム・オープンを迎えようとしている。新シーズンは一体どんな1年になるのだろうかと考えたとき、まず感じられるのは、複雑な1年になりそうだという予感である。

松山英樹「昨年以上の成績を」2年目のシーズンへ抱負
 世界ナンバー1の座には、すでに北アイルランドのローリー・マキロイが君臨し続けており、ゴルフ界の時代の担い手はタイガー・ウッズからマキロイへ移行しつつある。

 ナンバー1の座のみならず、世界ランクのトップ10、トップ20を眺めてみても、米国選手のシェアは、ぎりぎり50%。他はスペインのセルヒオ・ガルシアやスウエーデンのヘンリック・ステンソンといった欧州勢やアダム・スコット、ジェイソン・デイらの豪州勢で占められており、明らかに多国籍化が進んでいる。もちろん、その中に日の丸を1つ掲げている松山英樹の大健闘ぶりは言うまでもない。

 メジャー4大会を振り返ってみても、14年シーズンの米国人チャンピオンはマスターズを制したバッバ・ワトソンのみで、他の3つは全米オープンがドイツのマーティン・カイマー、全英オープンと全米プロはマキロイ。メジャーチャンプは欧州勢が4分の3を占めたことになる。

 そして、先週開催されたライダーカップが米ゴルフ界にさらに暗い陰を落としてしまった。欧州チームが米国チームを圧勝したという勝敗の結果だけなら、米ゴルフ界の今後の不安をさほど感じることはなかったはずだ。が、今回はキャプテンを務めたトム・ワトソンの采配を巡り、チームメンバーたちの不協和音が大会初日から勃発。徐々に激化し、噴出するという最悪の流れになってしまった。挙句の果てに、キャプテンのワトソンが「私のミスだ」と謝罪する異例の事態。

 ライダーカップに向ける意欲やプライドは欧米選手にとっては何よりも大きく重いと言われ、単なるお祭り的な一大会では片づけられない複雑な想いが彼らの中には存在する。そのライダーカップで米国チームの和が乱れ、偉人と崇められてきたワトソンが瞬く間に責任を問われる立場に追い込まれる形になり、米ゴルフ界が大揺れしている中で迎える米ツアーの新シーズン。この微妙なタイミングが米国選手たちのパフォーマンスにどう影響するかが、開幕シリーズの見どころの1つになることは間違いない。

 とはいえ、一見すると米ツアーや米ゴルフ界にとってネガティブに見える要素も、見方や考え方次第では、いずれもポジティブに変換できる。コップに水が半分あるとき、「半分しかない」と思えばネガティブ、「半分もある」と思えばポジティブ。それだけの差だと言うこともできる。

 たとえば、メジャーチャンプ4人の中に米国人はゼロではなく1人いたと思えばポジティブ。そして、新シーズンはその倍の2人に、いやいや3人に増やそうという具合にモチベーションが高まれば、それは米国人選手たちの起爆剤になる。

 さらに前向きな見方をすれば、14年シーズンの米ツアー勝者は46試合(メジャー含む)のうち32人が米国人、プレーオフ4試合はすべて米国人、フェデックスカップの年間王者に輝いたのも米国人のビリー・ホーシェルだったわけだから、何から何まで米国勢が欧州勢に押されっぱなしだったわけではない。

 ピラミッドの上層の小さな一角だけはライダーカップ圧勝の余波もあって欧州勢の勢いが強まり、多国籍化の波も手伝って、新シーズンは米国勢にとって正念場になる。が、その一方で、上層部分にはジム・フューリクやバッバ・ワトソン、マット・クーチャー、リッキー・ファウラーなどの米国人も混ざっており、そのすぐ下には、クリス・カークやパトリック・リードなど新たなるビッグスター予備軍たちも多数ひしめいている。その意味では、新シーズンは米国勢にとって黄金時代への過渡期にもなる。

 新シーズンは正念場の要素と過渡期の要素が混ざり合う複雑な1年。だが、明るい要素が見える前向きな複雑さというところに大いなる期待が持てそうだ。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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