<日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯 最終日◇8日◇ゴールデンバレーゴルフ倶楽部(7,233ヤード・パー72)>

 ウィニングパットを流し込んだ手嶋多一の元に、4歳の愛息子・泰斗君が駆け寄る。妻・直子さんと共に朝の6時に自宅のある福岡を出て10番ホールからパパについて歩いていたことはサプライズ。「来ていると思っていなかった。ウルっときそうになったけど、子供がきて驚いたから止まりました(笑)」。初めて息子に見せた優勝シーン。7年ぶりのツアー通算7勝目は家族と共に笑顔で彩った。

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 国内男子メジャー初戦「日本プロゴルフ選手権日清カップヌードル杯」の最終日。単独首位からスタートした手嶋が、首位がめまぐるしく動く大混戦の最終組を制してトータル9アンダーで逃げ切り優勝を果たした。2007年以来のツアー通算7勝目。メジャータイトルは2001年の「日本オープン」以来2つ目の戴冠となる。

 プロゴルファー日本一決定戦を制したのは通称“日本一練習をしない”プロだった。ツアー会場にいても、練習は早々に切り上げてコースをあとにするのはもうおなじみの光景。最近は休みとなれば息子と公園に出かけるのが日課で、家にいれば洗濯などの家事も積極的に手伝うイクメンでもある。

 そんな夫に妻はうれしくもあるが、心配にもなる。「のんびりしているので、もう少し練習しないと若い人にはかなわないよ」と直子さんが小言を言ったこともあった。だけど、夫はどこまでもマイペース。「僕が練習していないので、息子はプロゴルファーだというのをわかってないと思う(笑)」と笑うばかりだ。

 だが、45歳のベテランは柔和な表情の中にいつも苦しさを抱えていた。昨年は終盤まで18年間守り続けたシード権が決まらず不安な日々を過ごした。「去年後半戦は全然夜眠れなかった。2日目の朝がきついんです。予選とおらなきゃって思って…」。ホテルに持ち込んだパターを手に取り、眠れるまでホテルの床でパター練習。今大会最終日前日の夜も夜中の2時に目が覚めて「パターを持ってウロウロしていた」緊張と孤独と戦い続けていた。

 だが、日本最難関コースで緊張から解放された瞬間、そのすべては報われた。「産まれてから初めてなので嬉しかった。倉本さんにもスタート前に“最後のチャンスだぞ”と言われていたので(笑)」。初めて息子の前で掲げたトロフィーは日本最古のメジャータイトル。のんびり屋の優しいパパが、強くてかっこいいプロゴルファーになった瞬間だった。

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