<長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント 最終日◇6日◇ザ・ノースカントリーGC(7,050ヤード・パー71)>

 過去最高となる7,991人のギャラリーが固唾を呑んで見守る中、石川遼のウィニングパットがカップに沈んだ。会場を割れんばかりの歓声と拍手が木霊する。国内男子ツアー「長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント」の最終日。3ホールに及ぶプレーオフを制して、石川が2012年「三井住友VISA太平洋マスターズ」以来となる2年ぶりのツアー優勝を達成した。

2年ぶりの優勝をフォトギャラリーで振り返る!
 石川が辿った逆転への道筋は決して平坦なものではなかった。首位を走る小田孔明との2打差を追いかける石川だったが、2番で短いパーパットを外して3パットのボギーを先行。続く3番では13メートルのパットを沈めてバーディとしたが、4番を小田がバーディとした時点でその差は“3”に広がった。

 しかし、開幕前から石川が強調してきた“ショット力”が試合の流れを変える。8番ホールでセカンドショットをピン奥1メートルにつけてバーディとすると、9番では7メートルのパットを沈めて連続バーディ。さらにパーを3つ並べて迎えた難関13番ホールでは、170ヤードのセカンドを8番アイアンで1メートルにピタリ。「世界のどのコース、どのセッティングでも通用する」と自画自賛のスーパーショットでトータル9アンダー、小田と並ぶ首位タイに浮上した。

 完全に流れを掴んだかに見えた石川だったが、続く14番で3パットのボギーを叩いて後退。それを取り戻すべく、15番ホールでは再びピン1メートルにつけるスーパーショットを披露したが、小田も負けじとピン2メートルにオン。互いにバーディを奪い、試合は再び膠着状態に。最終ホールを迎えた段階では小田の1打リード。試合終盤はまさに“逃げの孔明”が描くシナリオ通りに試合が進んでいった。

 そんな中で石川が放った72ホール目のショットは、本人も「かなりひどいスイング」と話すプッシュアウト。ボールは大きく右に飛び出し、ラフにつかまった。小田のティショットもラフに入ってはいたが、1打リードを考えれば圧倒的に有利な状況だった。

 そんな中、冷静に池の手前のフェアウェイにレイアップした小田に対し、石川が選択したクラブは4番ウッド。「同じ条件だと孔明さんが有利になる。流れが変わるきっかけになると思った」。ピンまで残り280ヤード、エッジまででも250ヤード、ライは少し沈んだラフ。リスクのあるショットではあったが、これをグリーン手前の花道まで運ぶと、絶妙なアプローチでバーディを奪取。土壇場で石川が小田をとらえ、勝負は18番ホールを使用したサドンデスプレーオフに突入した。

 ここから繰り広げられたのは互いに譲らぬ名勝負。1ホール目では互いにフェアウェイをとらえ、セカンドでほぼオンに成功してバーディを奪取。2ホール目では小田が2オンに成功する中、石川のボールはグリーン右のバンカーへ。しかし、石川がこれを2メートルに寄せてバーディとしたため、2ホール目も分け。プレーオフはついに3ホール目を迎えた。

 ここで両者のティショットはほぼ同じ地点の右ラフへ。互いに池の手前へのレイアップを選択したが、引っかけ気味の小田のボールが池ギリギリのラフに入ったのに対し、石川のボールはピンまで残り108ヤードの絶好のポジション。この結果がプレーオフの勝敗を分けた。サードショットをグリーン左のカラーに外した小田がパーに終わり、ピン手前1メートルにつけた石川がバーディを奪ったのだ。正規のラウンドを含めば21ホールに及ぶ死闘を制して、石川が2年ぶりとなるツアー通算11勝目を挙げた。

 「優勝する上ではショットが鍵になると思っていた」。先週から北海道入りし、“ショット力”を強化すべく合宿を行ってきた石川。徹底した打ち込みによって練習では「良いスイング、良いタイミングで振れている」と好感触を得ていたが、今大会においてはそれを発揮することができていなかった。しかし、この日は「自分の納得いくショットが打てるようになってきた」と内容にも好感触。正規ラウンドの18番ホールでは「ひどいスイング」でミスを出したが、プレーオフ3ホールでは「はるかに良いスイングができた」と安定したティショットを放って、3ホール連続でのバーディを呼び込んだ。

 「1打1打を振り返って、世界で通用するショット、パットがいくつ打てるか。それと優勝の両立を目指したが、まさにそれができたという感じです。でも同時に課題も見つかって、まだまだだなという状況での優勝でした」。シーズン途中で合宿を敢行し、磨き抜いてきたショットで久しぶりの優勝を成し遂げた石川だが、それに対する満足感は決して多くない。しかし、日本のファンの前でアスリートとしての成長、プロゴルファーとしての進化を見せつけたのは間違いない。「次はアメリカで優勝したいです」。そう表彰式で高らかに宣言した石川にはギャラリーからの惜しみない拍手が送られた。

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